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「ディスクの信頼性を下げてよい」 GoogleがHDD業界にクラウド時代の提案

 「データ損失の可能性が高くなってもよいので、キャパシティとシステムの性能にフォーカスしたディスクを」。巨大なデータセンターを世界で運用するGoogleが、こんな要望をブログにつづった。クラウド時代に合う新しいアプローチが必要というが、いったいどんなものか? この変わった要望にハードウェアベンダーは応じられるのだろうか?

ディスクをグループ化してパフォーマンス改善

 「Googleはデータセンター向けの新しいディスクを求める」。Googleのクラウド事業「Google Cloud Platform」の公式ブログが2月23日付で、こう題したエントリーを公開した。同時期に開催されていたイベント「2016 USENIX conference on File and Storage Technologies(FAST 2016)」に合わせたもので、新しいディスクのあり方を考えようと業界と学術界に呼びかけたものだ。

 それによると、現在のハードドライブディスク(HDD)はPC向けとしてスタートした3.5インチのフロッピーディスクが進化したに過ぎず、「最適な設計とは言えない。われわれはクラウドベースのストレージ時代に移行しており、モダンなディスクドライブのデザインとはどのようなものかを再評価するときではないか」というのだ。

 問題は拡張性だという。Googleのホワイトペーパーによると、YouTubeへの動画アップロード量は5年間に10倍に増えている。世界中のユーザーから毎分400時間分の動画がアップロードされており、毎時1GBが必要になるという。これは毎日、新たに1ペタバイト分のストレージ需要につながっている。

 この増加に対応するには、現在のHDDでは限界があるというのがGoogleの見解だ。「業界は1ドル当たりギガバイトの改善には優れているが、ギガバイトあたりのIOPS(Input/Output Per Second=1秒間に読み込み・書き込みできる回数)の改善はそれほどでもない」とGoogleは述べている。

 Googleの提案は、サーバー1台ごとに1台のディスクを置くのではなく、ディスクの集合体を最適化することだ。「データ損失対策に充てるコストや労力を、キャパシティやシステムのパフォーマンスの改善」にシフトさせ、その結果として「信頼性が低くなってもよい」とする。「どのみち、データはどこかにあるのだ」と言う。

 このほか、フォームファクタ(ドライブの高さを高くする)、セキュリティ(ファームウェアのみの変更サイクルの短縮化)などの変化も考慮すべき点として挙げている。

(岡田陽子=Infostand)