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「ディスクの信頼性を下げてよい」 GoogleがHDD業界にクラウド時代の提案

需要爆発でコストが膨らむ

 Googleの提案は常識を覆すようなものだが、The Next Platformは、これを細かく分析して、妥当なものだと結論している。

 まず市場面の背景として、クラウドへのシフトで、消費者、そして企業も自社でデータを持つよりもクラウド事業者に任せる形態が増えている。この結果、HDDの市場も、PCと企業のデータセンターから、GoogleやFacebookのようなインターネット企業(”ハイパースケール企業”)や、AWS(Amazon Web Services)などのクラウド事業者へと移りつつある。

 現在のモデルの拡張性が十分でないことは明らかだ。The Next Platformは、Googleの示したYouTubeの成長率を2024年にあてはめてそれを実証する。現在の成長率で進めば、2024年にユーザーがアップロードする動画は毎分5万時間となり、Googleは毎日125ペタベイトをインストールする必要がある。

 これは、年間にすると20TBのディスク230万台、コストにして11億5000億ドルになるとはじいている。当然、これらのHDDは「パフォーマンス要件を満たせないだろう」とThe Next Platformは述べている。「膨大な量とコストであり、GoogleがHDD分野でイノベーションを求めても不思議ではない」というのだ。

 フォームファクタについても、現在主流である2.5インチ/3.5インチよりも、キャパシティの増加と、高いIOPSを実現するためには5.25インチと1.8インチに戻るべきという提案や、ドライブからのデータの読み込みを高速化するためにアクチュエーターを追加すること、大規模なキャパシティの制御を得るためにHDDの高さを上げることの提案――をGoogleの見解としてまとめている。

 HDDに新しいアプローチが必要だというGoogleの主張に、専門メディアも異論は唱えていない。だが、注目を集めたのは、GoogleがSSDに対して高い関心を示していない点だ。SSDはIOPSに優れるが、Googleは、SSDが主流にならない主な理由としてコストを挙げている。「HDDとSSDの間の1ドル当たりのキャパシティの成長率が比較的近く、近い将来コストが大きく変わることはないだろう」と理由を説明している。

 2015年にWestern DigitalがSanDisk買収を発表するなど、HDD市場は再編の波の中にある。The Next Platformは「ベンダーはやるべきことがたくさんあるようだ」としながら、(1)(市場のけん引役である)クラウド事業者やインターネット企業のニーズを迅速に満たすことができるのか、(2)同じようなニーズがほかにもあるのか――と問題を提起している。

(岡田陽子=Infostand)