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「ディスクの信頼性を下げてよい」 GoogleがHDD業界にクラウド時代の提案

クラウド向けにシフトできるのか?

 Business Insiderは、Googleの提案に絡めて、IBM、Dell、Hewlett-Packard Enterpriseなど、エンタープライズ向けハードウェアベンダーの現状と課題を指摘している。

 昨年、Dellが670億ドルをかけてのEMCを取得することを決めたのは、クラウドによる市場の変化がもたらしたものと分析できる。だが、Googleが「ハードウェアベンダーを説得して、自社の提案に従わせるのは簡単ではないだろう」という。

 Business Insiderは「ハードウェア業界は、いまだに1999年のように製品を構築しているのだ」。理由は単純で「もうかる法人事業を放棄したくないから」と説明する。

 それも少しずつ変わりつつあるという。企業はこれまで、ほかに選択肢がないことから、これらベンダーから高額なシステムを購入することを受け入れてきた。だがクラウドへの移行が進んでおり、法人市場ではかつてのような成長は見込めない。システムベンダーはクラウド事業者向けにフォーカスすることもできるが、事業モデルの変革はなかなか進まない。

 一方で、変革を迫られているのは事実だ。クラウド事業者は既存のシステムベンダーのハードウェア機器は高額だと感じており、自社でデータセンターを設計する方向に進んでいる。最も分かりやすいのが「Open Compute Project(OCP)」としてハードウェア設計をオープンにしているFacebookだ。Facebookは2016年、OCPで構築した6カ所目のデータセンターをオープンしたところだ。

 Facebookのように取り組みをオープンにはしていないが、AWS、Googleも自社でデータセンターを設計しているといわれている。これらは「ゆっくりと、しかし確実に、Dell-EMCの組み合わせなどのエンタープライズ機器メーカーの収支に影響を与えつつある。さらに悪いことに、クラウドベンダーはこの差を埋めるに十分な量を購入していない」と述べている。

 それでもハードウェアベンダーの未来に希望がないわけではない。Business Insiderは、オンラインバックアップBackblazeのCEO、Gleb Budman氏のコメントを引用して「彼らは、過去にも何度も自社を再構築してきたのだ」と結んでいる。

 同社はGoogleの提案に対しては、こうブログにコメントしている。「われわれはストレージサーバーを自社で構築しているし、データセンターも自分たちで構築している。ハードディスクも自社でやろうかという冗談も出ているが、実行可能ではない。コストが上がることなくGoogleの提案通りになるのなら、賛成だ」

岡田陽子=Infostand