GoogleがOSに進出? 人気Linuxディストリビューションとの関係



 米Googleが今度はデスクトップOSの提供を計画している―。こんなニュースが伝えられた。しかも、ベースはLinuxディストリビューションという。本当ならば、長らくデスクトップ分野への進出を狙ってきたLinux陣営にとって大きなインパクトを与えるだけでなく、デスクトップでの覇権争いを左右する可能性もある。


 1月31日、英IT専門サイトの『The Register』は「Google at work on desktop Linux」というタイトルで、Googleが社内OSとして「Goobuntu」というLinux OSを開発・利用していると報じた。同サイトによると、Googleの広報担当者はGoobuntuの存在を認めたが、プロジェクトの目的や外部に提供する計画があるかについては、コメントを避けたという。また、Ubuntuのサポートを担当する英Canonicalもこれを認めている。

 Googleはこのところ、検索エンジンを軸としてアプリケーションを強化しており、デスクトップにおける存在感を増している。中でも、年明けに米ラスベガスで開催された家電イベントの「2006 International Consumer Electronics Show(CES)」でGoogleの共同創業者兼製品部門担当社長、Larry Page氏自らが発表した「Google Pack」は、大きなステップとして一部で評価されている。

 Google Packは、同社のアプリケーションを中心にデスクトップアプリケーションをひとまとめにしたもので、インストールやアップデートなど、保守・管理を容易に行えるのが特徴。IM、デスクトップ検索、Webブラウザ、アンチウイルス、メディア再生プレーヤーなど、PCでよく利用するアプリケーションが含まれている。

 当然、Google対Microsoftの構図が強まってくる。このことから、今回、Goobuntuの存在が明らかになったことから、「ついに両社がOSで対決」という見方も出ている。


 MicrosoftがWindows OSで独占しているデスクトップOSは、Linux陣営がずっと進出を狙ってきた分野である。

 Googleが採用しているというUbuntuも、DebianをベースとしてGNOMEを採用したLinuxディスリビューションだ。南アフリカの起業家、Mark Shuttleworth氏が開始したデスクトップLinuxプロジェクトで、最新版は2005年10月にリリースされた「Ubuntu 5.10」である。OSそのものは無償で提供されており、Shuttleworth氏はプロジェクトとは別にCanonicalという営利企業を設立し、ここでUbuntuの認定・サポートなどを行っている。

 デスクトップ向けのLinuxディストリビューションにはこのほかにも、仏Mandriva、米Linspire、米Novellの「Novell SUSE LINUX」などがあるが、Ubuntuは使いやすさが評価され、人気が急上昇中だ。Linuxディストリビューションの専門サイト、Distrowatch.comでは、2月8日時点でページヒットランキングのトップとなっている。

 Linuxがデスクトップ分野に進出する上での課題はいくつかあるが、インストールを初めとした使いやすさやインターフェイスはディストリビューション側でほぼ解決できる課題だ。もしGoogleが、すでに高い評価を持つUbuntuを一般向けに改良し、Googleブランドを冠すれば、Linux全体にとって大きな弾みとなるだろう。


 一方で、Goobuntuは単なる内部利用にすぎないという見方もある。Googleは当初からLinuxを搭載したシステムを構築し、検索エンジンを運用してきたためだ。また、デスクトップOS分野に進出することに同社の事業戦略から見てどんな意味があるのかも、議論は分かれそうだ。

 なお、Goobuntuのニュースの後、今度は、米『San Jose Mercury News』紙などが、Googleが米Dellなどのコンピュータメーカーにソフトウェアをプリインストールする話し合いを進めていると報じた。Googleの周辺は常に騒がしい。

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(岡田陽子=Infostand)
2006/2/13 09:00