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「データセンターに電力が届かない」 Amazonが電力会社と対立

秘密契約と住民の反発

 電力はデータセンター構築の最大のボトルネックとなりつつある。AIデータセンターの電力需要は極めて大きく、AI専用の高密度サーバーラック1台で平均家庭500世帯分相当の電力を消費すると言われている。

 テック各社はそれぞれ電力会社と大型契約を結び、電力確保を図っているが、その中には「秘密契約(Special Contracts)」があるとの指摘も出ている。

 ハーバード・ロースクール講師で、エネルギー法を専門とするAri Peskoe氏らが、10州で州公益事業委員会の審理約50件を調査したところ、40件で秘密契約が確認できたという。環境問題を扱うメディアThe Invading Seaが7月8日付で報じている。

 こうした契約では、電力コストが一般消費者に転嫁される事例が相次いでいる。例えば、ルイジアナ州では電力会社のEntergy Corporationが、Meta向けに30億ドル規模の天然ガス発電所と配電網整備を提案したが、そのコストを全顧客の電気料金に上乗せする設計だったという。

 また、開発地域での住民の反発も強まっている。Googleがインディアナ州で計画していた450エーカー(約180ヘクタール)のデータセンターは、大量の電力や水の使用に懸念が出たため、9月の公聴会で正式に中止されることが明らかになった。