Infostand海外ITトピックス

相次ぐクラウドベンチャーの買収 大手による統合の波

ベンチャー買収で成果を手にする大手

 奇しくも同じ日に発表された2社の買収は、大手ITベンダーによるOpenStackベースのクラウド戦略の本格化が進んでいることを実証したものだ。Seeking Alphaは、2社の買収を報じながら「将来のITサービスはクラウドにある、これは明白な方向性と言える」と記している。

 クラウド市場をリードするのは、2006年からパブリッククラウドサービスを提供しているAmazon Web Services(AWS)で、これに対抗するかのように登場したのがOpenStackだ。OpenStackには“クラウド界のLinux”との期待も大きい。

 このOpenStackを育ててきたのは小規模のベンチャー企業だ。オープンソースであることを利用して、各社は問題を明確に絞ったポイントソリューションを開発し、顧客、そしてベンチャーキャピタルの支持を得て規模を大きくしていった。

 一方、資金に余力はあるが動きの遅い大手ベンダーは、技術がメインストリームになるタイミングでこれらベンチャー企業を買収してポートフォリオを構築する。IBMとCiscoの買収はその好例といえる。Ciscoは2014年にもMetaCloudを買収している。また、5月末にはEMCが同じくクラウド分野のベンチャー企業、Virtustreamを買収している。

 OpenStackを巡る市場の淘汰という視点から2社の買収を分析したSeeking Alphaは「OpenStackは柔軟性に優れ、拡張も容易だ。しかし、このタイプのインフラ向けのソフトウェア開発は非常に難しい。CiscoとIBMは自分たちで一から開発する代わりに、資金を使って専門知識を獲得している」と述べている。

(岡田陽子=Infostand)