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「スマートフォンに目を持たせる」 GoogleのProject Tango

 Googleが新たな野心的プロジェクト「Project Tango」を発表した。スマートフォンで3Dマッピングを行うプラットフォームを展開するプロジェクトで、人間に見えるような空間や物体を、カメラを内蔵したスマートフォンに認識させる。いわばモバイルデバイスに「目を持たせる」ことになる。プロジェクトはこれまでGoogle社内の潜行モードだったが、開発キットを開発者に配布し、アイデアを求める段階へと進んだ。スマートフォンに目を持つことで、何が生まれるのだろうか――。

部屋の空間を3Dデータ化する

 「Project Tangoのゴールは、人間のように空間と動きを認知する能力をモバイルデバイスに与えることだ」。Project Tangoチーム責任者のJohnny Lee氏は、このプロジェクトの目的をこう説明している。Project Tangoでは、デバイスが自分の位置や向きを知りながら、周囲にあるものをカメラとIRセンサーで認識する。そして識別できた物体を立体的なデジタルデータにする。それもリアルタイムに近いスピードで、というのが特徴だ。

 といっても、なかなかそのイメージはわかないかもしれない。TechCrunchが紹介している室内3Dマッピングの動画を見ると、少し実感できるではないだろうか。この動画では、スマートフォンのカメラで室内をなめるように撮影して、写った画像を立体的に再構築する様子を見ることができる。できあがった立体画像は、ちょうど3Dゲームの背景のような室内立体モデルになっている。Project Tangoの初期プロトタイプに採用された3Dスキャン技術のベンチャー、Matterportの技術を利用したものだ。

 Googleは2月20日、Project TangoのためのAndroidベースのスマートフォンとソフトウェアからなる開発キットを発表した。スマートフォンは、5インチの画面を持つAndroidスマートフォンで、4メガピクセルのメインカメラ、オブジェクトをトラッキングするサブカメラ、距離と形状を測定するIRセンサーを内蔵している。申し込み受け付け中で、申請のアイデアを審査したうえ、計200セットを提供するとしている。

(行宮 翔太=Infostand)