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Motorola買収の損得 GoogleがLenovoに29億ドルで売却 (Motorolaブランドを手に入れるLenovo)

Motorolaブランドを手に入れるLenovo

 逆にLenovoの狙いはわかりやすい。スマートフォン事業を強化するにあたり、PCと同じ手法を選ぶということだ。この戦略に対しては好意的な評価がほとんどだ。「Lenovoは次の成長フェーズを加速したいと考えており、その点からみてこの買収は素晴らしいものだ」とFrost and SullivanのアナリストManoj Menon氏はBBCにコメントしている。

 Lenovoはスマートフォン市場では後発だが、倍増ペースで販売台数を伸ばしている。しかし、スマートフォンでのLenovoの市場は主として中国市場であり、最近、ようやく東南アジア諸国への拡大を始めた段階だ。

 Motorolaは米国のAndroidスマートフォンメーカーとしては第3位で、ブランド認知は極めて高い。Motorolaを手に入れれば、ブランドだけでなく、キャリアとの関係など米国市場での展開に必要な足がかりを得られる。「ThinkPadブランドを用いたのと同じようにMotorolaを利用することで、魅力的な市場に最短距離でアクセスでき、クリティカルマスを構築できる」というForrester Researchのアナリストのコメントなどを交えながら、BBCは「今後、Lenovoについて語る際、2014年1月30日は特別な意味を持って言及されることになるだろう」と述べている。

 Wall Street Journalのインタビューに応じたLenovoのCEO、Yang Yuanquing(楊元慶)氏は「スマートフォン分野でグローバルプレーヤーになりたい。米国や成長市場では、まだ展開しておらず、Motorolaの買収により米国市場へのショートカットを得られる」と述べている。同社の戦略を端的に説明するものだ。また、Motorolaが赤字続きである状態については、まだ具体的な計画を敷いていないとしながらも「収益を得ることは可能」と自信を見せている。

 背景にあるのは、IBMからのx86サーバー事業買収と同じくLenovoの「PC Plus」戦略だ。PC市場の飽和に対するLenovoの解は「PC Plus」であり、サーバーも、そしてモバイルも、まさに「Plus」の部分に入る。

(岡田陽子=Infostand)