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サーバー事業に拡大するLenovo、IBMのPCサーバー事業を買収

 PCで世界最大手のLenovo(聯想集団)が、IBMのx86サーバー事業を買収することが正式に発表された。買収金額は総額23億ドルで、中国企業のハイテク関連買収で最大規模の額だ。IBMはPCサーバを切り離し、ソフトウェアとサービスへの注力を強化する。ハードウェアのコモディティ化やクラウドといったトレンドを反映したものだが、Lenovoの狙いは何だろう――。

8年前はPC、今度はx86サーバー

 Lenovoは、約8年前の2004年末にIBMのPC事業売買を発表してPC世界大手となった。今度はx86サーバーだ。1月23日の両社の発表によると、Lenovoはキャッシュ約20億ドルと株式を合わせた総額23億ドルを支払う。譲渡するx86サーバー事業には、「System x」「BladeCenter」などのブランドが含まれる。

 IBMがローエンドのx86サーバー事業の売却先を探していることは以前から報じられており、LenovoやDellの名前が挙がっていた。Lenovoとの交渉は、いったん価格面で合意できないことで止まったが、2013年11月に交渉を再開。当初、60億ドルを要求していたIBM側が折れた形となったようだ。それでも、2013年にBaidu(百度)がNetDragonの91 Wireless事業を買収して、中国企業による米国企業の買収で最高額だった18億5000万ドルを軽く上回る。

 買収によって、System X事業グループトップのAdalio Sanchez氏など幹部はLenovoに移る。またx86向けLinuxとWindowsのソフトウェアの開発も進め、LenovoはIBMのストレージシステムおよびソフトウェアの再版も行う計画としている。一方、IBMはメインフレームの「System z」や「Power Systems」「Storage Systems」など、ハイエンドのサーバーやストレージは維持する。

 この買収には規制当局の承認が必要だが、このところ米国政府は安全保障面での理由から、通信分野などでの中国企業の製品を警戒しており、両国の緊張が高まっているところだ。当局の承認をクリアできるかについては、、ReutersにコメントしたDavis Polk&Wardwellの弁護士John Reynolds氏の「(対米外国投資委員会の審査では、LenovoがIBMからPC事業を買収した)2005年よりも簡単に承認を得られるだろう」との楽観的な意見もあれば、Wall Street JournalにコメントしたKaye Scholerの弁護士Farhad Jalinous氏の「2005年の取引の結果と同じものを2014年に得られるとは限らない。買収先が同じであっても、だ」という慎重な見方もある。

(岡田陽子=Infostand)