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IaaS市場の第2フェーズへ Google Compute Engine正式提供 (機能面でAWSに劣る?)

機能面でAWSに劣る?

 GCEが正式サービスとなったことで、AWSとの対抗関係が注目される。現在IaaS市場はAWSの独占状態で、提供している仮想サーバーは、2位から14社までの合計の5倍との調査もある。IaaS市場には、Microsoftが「Azure」で参入、IBM、Hewlett-Packard(HP)、Rackspace、VMwareなどがあるが、AWSには遠く及ばないのが現状だ。

 ターゲットユーザー面でも、Microsoft、IBM、HPがオンプレミス時代の既存顧客を狙うのに対して、GoogleはAWSを検討するベンチャーや中小規模企業市場向けでAWSと重なり、直接対抗するものと位置づけられる。

 ようやく正式版となったGCEだが、AWSを比較するとまだまだ機能面で劣るという指摘は多い。両サービスを比較したNetwork Worldは、AWSが優位な点として、「Windows仮想マシンも利用できる」「ストレージではSimple Storage Service (S3)、Elastic Block Storage (EBS)、Archival/Glacier、Cloud Strage Gatewayと幅広い選択肢を提供する」「SAPやOracleなどAWS上で動くサードパーティのサービスが豊富」などを挙げている。

 一方、Tech Week EuropeはAWSにはない機能として、GCEのライブマイグレーション機能を挙げた。ライブマイグレーションはAWSの場合、AWSユーザーであるNetflixが開発しオープンソースとして公開している機能があるが、AWSからは直接提供されていない。また、クラウド管理サービスのRightScaleはブログで、顧客の中にAWSと比較してGCEを選択した企業もある、と指摘。GCEの長所として、(1)性能、(2)価格、(3)選択肢、(4)技術革新、(5)エンタープライズ向け機能――の5つを挙げた。

 Gartnerのアナリスト、Lydia Leong氏もGCEを分析した調査メモで、AWSと比較すると「利用できる機能の幅広さと深さの点からみて、著しく劣る」としながら、「ベンチャー企業であれ、確立された企業であれ、クラウドネイティブアプリケーション提供を考えている組織にとってはAWSの代替となりうるレベルに達した」と一定の評価も与えている。

 さらにLeong氏は「GCEのGAは(市場にとって)境界線となった。これをもって市場は第2フェーズに入った」と記している。そして、最も重要なことは、これによってAWSを含め市場の技術革新のペースが速くなることだと結論づけている。

(岡田陽子=Infostand)