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クラウド事業拡大目指すZTE、課題はセキュリティ懸念 (立ちはだかる米国政府の不信感)

立ちはだかる米国政府の不信感

 ZTEのクラウド事業拡大は通信機器メーカーのクラウド進出というトレンドに沿ったものだ。顧客である通信事業者からのニーズもあり、通信機器メーカー最大手のEricsson、2位のHuaweiは、ともにクラウド事業を強化している。

 EricssonはOpenStackを推進するOpenStack Foundationに早くから参加しており、ソフトウェア定義型ネットワーク(SDN)分野にも積極的だ。中国などで総合ITベンダーとしてサーバー事業も積極展開するHuaweiも、2012年10月にOpenStack Foundationに正式加入した。同社は9月、上海で「Huawei Cloud Congress 2013」を開催し、OpenStackベースのクラウド体型「FusionCloud」を発表した。OSの「FusionSphere」をベースに、コンピューティング、ストレージ、ネットワークなどのコンポーネントを含む「FusionCable」などで構成され、通信事業者をメインターゲットとする。

 これら競合他社との戦いがZTEの最初の課題とすれば、次の課題は、米国の中国に対する根強いセキュリティ懸念だ。2012年10月に米国下院情報特別委員会(HPSCI)は、中国企業であるHuaweiとZTEの通信機器の利用は安全保障上の脅威になりうるとする報告書をまとめている。

 報告書は、両社が中国当局の影響を強く受けているとし、その機器を通信インフラに採用することはスパイ行為のリスクにつながる可能性を挙げ、政府機関や企業による採用を控えるよう勧告した。HuaweiとZTEはこれに反論。その後、中国政府もこの報告書を非難するなど政治レベルの問題に発展している。

 これに加え、アナリストは、先に元関係者の暴露で明らかになった米国家安全保障局(NSA)の監視プログラム「PRISM」の存在を受け、懸念が高まっている点も指摘している。

(岡田陽子=Infostand)