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クラウド事業拡大目指すZTE、課題はセキュリティ懸念 (中国のクラウドは力不足?)

中国のクラウドは力不足?

 こうした米国からの懸念について、ZTEのクラウドコンピューティングとIT製品担当ゼネラルマネージャーのZhu Jinyun氏は「ここ最近、データプライバシーはホットなトピックになった。だが、顧客はそれぞれ固有の要件や特徴を持っていることをわれわれは理解しており、業界の発展をちゃんとモニタリングしている」とReutersに語っている。さらに国外市場展開については、「ZTEは約20年前から中国外市場で事業展開してきた」と自信を見せる。

 しかし、これに対してIDCのアナリストは「(クラウド)サービスを国際的に提供するにあたって、データセキュリティへの懸念がある程度出てくるだろう」とし、ここで中国企業は主要市場で法律上必要な要件を満たせないのではないか、との見方を示している。

 また、中国のクラウドは力不足との指摘もある。米政府団体である米中経済・安全保障検討委員会は9月5日付で、中国におけるクラウドコンピューティングの報告書「Red Cloud Rising」を発表している。そこでは、中国は潜在的に大きな市場ではあるが、中国ベースのクラウドは現在、普及率、技術ともに米国より劣っているとの見解が示されている。

 また、安全面については「クラウドコンピューティングを安全にするための中国の技術能力は、中国の情報セキュリティ産業の構造的問題による制限を受けている」と評価しており、業界の発展に必要な高スキルを持つ情報セキュリティ専門家が少なく、中核となる技術が欠如しており、外国の製品とサービスの輸入への依存が大きすぎ、業界をリードする大企業が不在、と続けている。

 こうしたことからCloudComputingは、ZTEは国外展開よりも自国のインフラ支援を先にすべきではないか、と疑問を投げている。

 だが、ZTEが考えている「中国外」は必ずしも米国だけを指すのではない。ZTEのクラウド拡大を報じたZDNetによると、Huaweiは先の米下院による報告書とNSAのPRISM問題を受けて、米国市場へのフォーカスを弱め、成長国では、代わりに欧州に注力しているという。ZTEもHuaweiにならって欧州を重点市場にするだろうとZDNetは予想している。また、成長戦略として、通信機器だけではなくエンタープライズ分野を強化していくという点でも、両社は同じ方向を目指すとみられる。

 Forrester Researchの予測によると、パプリック、プライベートを含むクラウド市場は、2011年の303億ドルから2020年には2410億ドルと7倍に成長するという。ZTEの国外向けクラウドがどんな戦略なのか、技術面とビジネス面は明かされていないが、中国のクラウドが世界でどのような位置になっていくのかとあわせ、注目される。

岡田陽子=Infostand