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ポストPC時代に向けた新戦略 PCゲームのValve

 ゲームといえば、秋に新製品が登場予定のソニーとMicrosoft、それに任天堂の3大ゲーム機メーカーの動きが注目されているが、PCゲーム企業のValveが先週、3連発で発表を行った。ポストPC時代に向けPCからリビングルームへの拡大に向けたものとなるが、その狙いは野心的なものだ。モバイルゲーム人気ですでに大きな変革期にあるゲーム業界で、新たな台風の目となれるのだろうか――。

OS、ゲーム機、ゲームコントローラーを立て続けに発表

 Valveは元MicrosoftのGabe Newell氏らが1996年に創業したゲーム会社だ。「Half-Life」「Portal」などの人気ゲームタイトルの開発に加え、2003年からゲーム配信プラットフォーム「Steam」を提供している。Valveのゲームはもちろん、Electronic Arts(EA)、Take-Two Interactiveなど他社のゲームもプレーでき、約3000タイトルをそろえている。OSはWindows、Mac OS、Linuxに対応している。

 ゲームを探して入手するデジタルマーケットの機能はAppleが「App Store」を開始する前から提供済みで、Steamにはコミュニティ機能もある。ゲームのクオリティ、Steamのアイデアなどが高く評価されており、Valveはゲーム愛好家から根強い支持を得ている。PCゲームにおけるSteamのシェアは70%程度。そうしたこともあり、ゲーム業界では、Appleのようにその一挙一動が注目されている。

 そのValveが先週、一週間のうちに3つの発表を行った。一発目は9月23日に明らかにした「SteamOS」だ。LinuxベースのPC向けOSで、TVに接続できることから、「Co-OS」と位置づけている。ゲームを直接プレイできるだけでなく、PCにインストールされているゲームもプレイできる。ゲーム以外に、音楽や映画などのエンターテイメントコンテンツも利用できるという。

 SteamOSに続き、48時間のカウントダウンの後に発表したのが「Steam Machines」だ。SteamOSベースのゲームマシンで、TVに接続して大画面モード「Big Picture」でテームをプレイできる。条件を満たす希望ユーザー300人に無料のテスト端末を配る。テスト端末の配送は年内で、2014年にはサードパーティ製のデバイスも登場する予定という。

 その48時間後にベールを脱いだ最後の発表はゲームコントローラー「Stream Controller」だ。2つのトラックパッドとタッチパネルを配し、物理ボタンも備えたワイヤレスコントローラー。トラックパッドはクリック可能で、デュアルリニア共振アクチュエーター、ハプティクス(触覚技術)フィードバックなどの特徴により、より正確な制御ができるという。マウスとキーボードによるコントロールを大きく変えるもので、ジョイスティックや十字キーなどゲーム機のベースのコントローラーとも異なる。Stream Machines同様にベータテスター300人を募集し、APIも公開予定という。

(岡田陽子=Infostand)