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人間とマシンは近づき、クラウドは幻滅期 Gartnerの新版Hype Cycle (ウェアラブルのその先)

ウェアラブルのその先

 マシンと人間との「歩み寄り」を大きく加速しているのが、ウェアラブルだろう。スマートウォッチが現実のものとなり、AppleやSamsungなどの大手からも近々に製品が登場すると期待されている。

 また、Googleの「Google Glass」が継続的に話題を集めている。プライバシーの侵害などの懸念はあるが、Google Glassに対しては2012年に発表された当初より好意的な見方も増えており、ベンチャーキャピタルのAndreessen HorowitzなどはGoogle Glass向けアプリケーションの開発を促進する「Glass Collective」を立ち上げている。Andreessen Horowitzの創業者Marc Andreessen氏は「変革をもたらす技術」とベタ褒めだ。

 Google Glassに触発されてか、日本のテレパシー(「セカイカメラ」を世に出した井口尊仁氏の新会社)、イタリアのGlassUpなど、これまで研究開発を進めてきたベンチャーが一気に製品化を目指している。

 だからといって、すぐにマシンと人間の関係が急接近するわけではない。CMS WireはHCI(人間とコンピュータの相互作用)の点からHype Cycleレポートを詳細に分析した。期待がピークに達した「ウェアラブルUI」だけではなく、仲介のないシームレスな連携に不可欠な脳、筋肉、嗅覚(きゅうかく)の各インターフェイス技術については、生産性の安定期まで10年以上かかると指摘する。

 その先にあるのが、“Human Augmentation”といわれる人間の能力を強化・補強する技術だ。もともとは障害者支援などを目的に生まれた研究分野で、「現在“普通”と思われている人間の能力を高める」ような技術開発を目的に、感覚を補強するような研究が活発化しているという。Gartnerは、この分野の市場規模を数十億ドルと述べている。

 一方、技術開発以外の課題もある。プライバシーの懸念、そして監視や盗聴行為やID窃盗などだ。人間とマシンの関係が近くなることで、倫理面からの懸念や議論も噴出しそうだ。

(岡田陽子=Infostand)