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北朝鮮初の国産スマートフォンの謎 第1書記自慢の「アリラン」

 スマートフォンの新製品は次々と登場しているが、北朝鮮からとなると極めて珍しい。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(Korean Central News Agency:KCNA)が国産スマートフォンの工場を最高指導者の金正恩第1書記が訪問したニュースを伝えた。一般国民はインターネットが利用できないなど情報通信技術とは縁遠いように見える北朝鮮だが、知識経済強化を掲げており、その一環とみられる。独自の国産のスマートフォンとして誇らしげにお披露目されたものだが、怪しむ見方もある。

「アリラン」の名を冠したAndroidスマホ

 8月11日付の朝鮮中央通信によると、金正恩氏が平壌にある工場「May 11 Factory」を訪問し、そこで携帯電話「Arirang(アリラン)」(AS1201)が作られる模様を見学した。「数日前に製造を始めたばかり」の製品で、金氏は工場でタッチ携帯電話の性能について説明を受け、タッチベースは便利でカメラ機能は高い画素数を持つことから利便性があるなどと述べたという。満足げな顔で工場を見学する金氏の写真も掲載している。

 朝鮮中央通信はArirangのスペックについて触れていないが、Tech In Asiaが中国のメディアから得た情報として紹介している。それによると、Androidはバージョン4.1、無線通信規格は3GとWifiに対応し、画面の大きさは4.2インチHD画面、4コアプロセッサを搭載しているという。ただ、金氏が「高い画素数」と称えたカメラは、極度に時代遅れの1メガピクセルだという。

 北朝鮮のモバイル端末はArirangが初めてではない。2012年9月には平壌で開かれた展示会「Pyongyang Autumn International Trade Fair」で、Androidベースのタブレット「Samjiyon」を開発したと発表している。ExtremeTechは、現地に行ってSamjiyonを200ドルで購入した人からの情報として、1.2GHz動作のCPU、RAMは1GBのDDR3、1024×768画素7インチ画面などのスペックを伝えている。ストレージ8GBまたは16GBがあり、Androidはバージョン4.0.4を搭載していたという。

(岡田陽子=Infostand)