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クラウドリソースの取引市場を開設へ ドイツの証券取引所 (「バナナと同じように取り引きできる」)

「バナナと同じように取り引きできる」

 余剰のコンピューティングリソースを売買できるマーケットプレイス自体は、初めてのものではない。業界大手のAmazon Web Services(AWS)は「Amazon EC2」の処理能力を入札で購入するスポットインスタンスや、容量を予約するリザーブドインスタンスを提供しているし、「世界初のクラウドキャパシティのマーケットプレイス」を標榜するVirtustreamのSpotCloudは2010年から市場を開いている。

 だが、これらはベンダーが運営する取引所である。これに対し、Deutsche Boerse Cloud Exchangeは「ベンダー中立」となるのが特徴だ。ZimoryのIaaSクラウド管理ソフトウェアを利用し、オープンなAPIで売り手と買い手を結びつける。ZimoryのCEO、Ruediger Baumann氏はGigaomに対し、「コンピューティングとストレージのキャパシティを提供するすべての事業者が、利用可能なサービスとキャパシティを標準的な方法で表示する」と説明している。売り手、買い手の両方に軽量のオーケストレーションインターフェイスをインストールして、取り引き成立後に双方を結びつけるという仕組みだ。このオーケストレーション層経由によって、あらゆるクラウドプラットフォームをつなぐことができるという。

 ベンダー中立性と並んで、重要なのが利用プロセスの高速化だ。この問題を指摘したWall Street Journalによると、現在の取引所では簡単に取り引きできるようになるまで契約に時間がかかるという。Deutsche Boerse Cloud Exchangeでは、製品の規格化、利用手順の標準化などを進めることでプロセスに要する時間を大幅に短縮すると説明している。

 Zimoryの共同創業者、Maximilian Ahrens氏はReutersに対し、「クラウドはホモジニアスな特徴を持つので、コモディティ化が容易だ」と述べている。またDeutsche Boerse Cloud Exchangeのディレクターは「バナナと同じ。全部のバナナが同じかどうかを確認することなく双方が価格に合意できる」と付け加えている。

(岡田陽子=Infostand)