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連邦予算の3割削減目指す「DOGE」 武器はAI

活動の進め方には批判殺到

 AIを活用した効率化・合理化自体は魅力的なアイデアだ。しかし、DOGEの活動に対しては批判が噴出している。

 まず、政府機関の機密情報の扱いだ。大統領令はDOGEチームに対して「非機密情報」へのアクセスを認めているが、「機密情報」へのアクセスについては明確に規定してない。

 このため民主党が強い19州の司法長官が2月7日、財務省の記録や市民の個人データにDOGEがアクセスするのはプライバシー法や憲法に違反しているとして訴訟を起こした。まずデータアクセスへの一時差し止めを求めたが、ワシントンDC連邦地裁判事は2月18日、これを棄却した。「差し迫った回復不能な損害をもたらす」ことを証明できていないとしている。

 また、DOGEのメンバーに関する問題も次々に浮上している。Wall Street Journalは、DOGEの主要スタッフであるMarko Elez氏(25歳)が過去、Xに人種差別主義の投稿をしており、同紙の取材後に辞任したと報じた(その後、Musk氏はElez氏を復職させる意向を示している)。

 ほかにも、主要メンバーのエンジニアで、国務省の上級顧問となっているEdward Coristine氏が、過去に働いたセキュリティ企業から内部文書の漏えいで解雇されていた、とBloombergなどが伝えている。

 Coristine氏は19歳。最近高校を卒業してノースイースタン大学に入学したが、過去にサイバー犯罪コミュニティ「The Com」と関係があったとも伝えられている。DOGEへの参加は、Musk氏のNeuralinkで3カ月間働いたことからだとみられている。

 DOGEのメンバーはほとんど公表されていないが、メディアが少しずつプロフィールを明らかにしている。そうして、ほとんどが若く、政府機関や行政の経験がなく、Musk氏とどこかで関係があることが分かってきた。

 こうした現場の混乱の中で、DOGEの作業は進んでいる。そして、DOGEが官僚機構に挑むという構図の支持者は少なくない。「政府の非効率と怠慢で大きな無駄がある」というストーリーは、国民にはおおいにアピールする。

 さて、ここで今度は、5つの原則について、「政府機関にもこの原則は適用できるのか」をGrokに聞いてみた。

 答えは「行政機関でもこれらの原則をそのまま適用すること自体は可能ですが、実際には行政特有の制約や特性により、適用には調整や工夫が必要になる場合があります」「民間企業とは異なり、行政特有の目的(公共性や公平性)と制約を考慮したカスタマイズが必要です」。

 Grokの回答の方が常識的なように見える。