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AIインフラ投資に陰り? Microsoftがデータセンターの契約の一部を撤回

 「Microsoftが、一部のデータセンター契約を撤回している」 2月下旬、こんなニュースが業界を駆け巡った。世界中でデータセンターへの投資ラッシュが続く中、他社に先駆けてAIでの地盤固めを進めてきた同社の動きは投資家に衝撃を与えた。供給過剰の懸念や戦略転換があるのではないかとの見方も出ている。

「数百メガワット」相当をキャンセル

 BloombergとReutersは2月24日付で、「数百メガワット」相当のデータセンターのリース契約をMicrosoftがキャンセルしたと報じた。投資銀行、TD Cowenの2月24日付のレポートによるもので、少なくとも2社が対象だったという。TD Cowenは、ほかにもMicrosoftが新規リース契約の前段階である「適格性証明書(SOQ)」の本契約への転換を停止したことも報告している。

 Microsoftは報道を受け、「インフラ投資計画は予定通り進行中」としながらも、「一部の地域では戦略的な調整を行う可能性がある」とコメントしている。

 Microsoftはこれまで、OpenAIとの提携と並行してデータセンターに大きな投資をしてきた。今年初めには、2025年度(2024年7月-2025年6月)で800億ドルをデータセンターインフラにつぎ込む計画を発表している。

 TD Cowenのアナリストは、「Microsoftが供給過剰になっている可能性がある」として、同社が過去1年間に契約したデータセンター容量の一部が不要になった可能性を指摘した。

 この報告に市場も反応し、エネルギー関連株が下落した。ドイツのSchneider Electric SE株は7%、フランスのSiemens Energy AG株は4%。スリーマイル島原発を再稼働させてMicrosoftに電力を売却する予定のConstellation Energyの株価も5.9%下落した。Reutersなどが伝えている。