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AIの「次のボトルネック」になる? データセンター接続で注目浴びるネットワーク

ネットワークは、土地、電力に続く「第三の資源」

 Lumenは1930年代のOak Ridge Telephone Companyに起源を持つ古参のネットワーク技術ベンダーだ。2020年にCenturyLinkからLumenへと社名とブランドを変更した。

 AIブームのなか、"AIファブリック"のPCFでAI時代の企業に転身を遂げつつある。PCFはダークファイバー(未利用の光ファイバー回線)を利用した「AI対応ネットワークインフラ」とLumenは説明する。ハイパースケーラー、データセンター、企業向けに提供するモジュラー型の技術で、企業はこれを利用してカスタムネットワークアーキテクチャを設計できるという。

 同社のCTO(最高技術責任者)Dave Ward氏は、「われわれはデータをGPU、AIデータセンターに高速に届ける。これは、これまで議論されていなかった分野だ」とChannel Futuresのインタビューで語っている。「そして、そのパイプをわれわれは実現しようとしている。それがAIファブリックだ」

 今後、ネットワークが重要になると予想するのはLumenの幹部だけではない。データセンター技術を提供するFlexentialのCEO、Chris Downie氏はFierce Networkに、「この1年半、AI GPUの需要がデータセンターのリソースを希少価値があるものにしていた。だが、結局のところ次に来るのはネットワークだと思う」と述べている。

 そして、ネットワークの消費がこの1年半のデータセンターのGPU消費のように優先される状態が続くのであれば、データセンターにファイバーを供給するネットワークプロバイダーは、より強い価格決定力を持つ、と持論を展開している。

 Fierce Networkによると、実際にネットワークの需要は高まっているという。例えば、2023年末に通信インフラ大手のZayoが400ギガのファイバーバックボーンに投資▽ダークファイバープロバイダーのLight Source Communicationsが米国のデータセンター増に対応するために140マイル(約225キロメートル)のファイバーリングを建築する計画を発表▽Uniti Groupはアラバマ州のクラウド顧客向けに新規ファイバーを設置――などを関連する動きとして紹介している。

 さらにこれまで大容量のネットワークを必要としていなかった地域にも、高性能ネットワークインフラが求められているという。「データセンターにとって、ネットワークは、土地、電力に続く資源」(Fierce Network)だという。

 アナリストもネットワークの重要性を主張している。Dell'Oro Groupでグループバイスプレジデントを務めるJimmy Yu氏は、「データセンター事業者は電力のボトルネックを回避するため、GPUのコンピュートクラスタを複数のデータセンターに分散させて高速な光ネットワークで接続する」とデータセンター事業者の動きを指摘する。

 またYu氏は、すでにネットワークを設けている場合は、より高速なものにアップグレードすることになるだろうと予想する。