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シリコンバレーを分断 ヒートアップする大統領選

Harris氏の登場で、反Trumpが勢いづく

 シリコンバレーでわき上がるTrump氏支持に対して、民主党支持者からは強い非難の声も上がっていた。

 サンフランシスコの起業家Merci Grace氏は、Andreessen氏とHorowitz氏に「裏切られたと感じる」とNew York Timesに語った。そして、Andreessen Horowitzが支援するベンチャーとは仕事をしたくない、と続けている。

 また同紙は、民主党の大口献金者であるLinkedIn共同創業者のReid Hoffman氏が、Trump支持のSacks氏と、X上でTrump氏暗殺未遂をめぐって激しい口論をしたことを紹介している。

 Hoffman氏は、Elon Musk氏、Peter Thiel氏、David Sacks氏らと共に“ペイパルマフィア”と呼ばれるPayPall出身起業家だが、他の3人とは全く考えを異にしている。かつての仲間は、いまや個人的にいがみ合う関係になってしまった。

 そして7月13日、圧倒的な劣勢かと思われた現職Biden大統領が撤退を決断し、後継として副大統領のKamala Harris氏を指名した。

 Harris氏はカリフォルニア州オークランド出身、同州司法長官を務めた経験もあり、シリコンバレーとも関係が深い。実際、Harris氏が大統領候補になるや、Hoffman氏はXで「適切な時の適切な人物」と評し、強い支持を表明した。

 Harris氏が民主党の大統領候補に浮上して24時間で、同氏の選挙運動には8100万ドルの寄付が集まったという。

 ニューヨークの左派メディアJacobinは、Brad Smith氏(Microsoft社長)、Marc Benioff氏(Salesforce CEO)、Drew Houston氏(Dropbox CEO)などが寄付したと報じている。ほかにも、元AppleのデザイナーJonathan Ive氏、FacebookやNapsterで知られるSean Parker氏、AirbnbのBrian Chesky氏らの名前が挙がっている。

 さらにテック業界では、Harris氏支持を表明するVCの投資家やテックリーダーたちの専用サイト“VCs for Kamala”が7月末に立ち上げられた。政党でなくHarris氏個人を支持する意思を表明するものと説明があり、誓約書に「すべてのVCがMAGA(Make America Great Again、Trupm氏のスローガン)に転換したわけではないことを創業者に示しましょう」と記されている。署名者は700人を超えた。

 大統領選は、これからさらにヒートアップしてゆくだろう。そしてシリコンバレーには、埋めがたい亀裂が生まれたように見える。