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大幅値下げから無料まで 激化する中国のLLM価格競争

派遣争いの「百モデル大戦」

 中国では、BATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)やByteDance、さらに多くのAIスタートアップがLLMの開発に参戦し、「百モデル大戦」(百団大戦=もともとは八路軍の抗日戦の意)と呼ばれる乱戦状態となっている。

 国内ではChatGPTやBingなど外国製のAIチャットボットは利用できない。政府は国内企業が外国製サービスを提供することを禁じている。LLMも国産が基本で、政府の承認を受けたものだけが市場で利用できる。

 China Dailyが引用する公式データによると、現在、中国の自社開発LLMの数は世界第2位で、それぞれ10億以上のパラメータを持つLLMが100以上、国内でローンチされているという。

 各社が狙っているのは、急成長するAIアプリケーション市場の獲得だ。市場調査会社のCredence Researchの予想では、中国のAIアプリケーション市場は2023年の290億1900万ドルから2032年には1505億4200万米ドルに急増し、年平均19.91%という成長率になるという。

 AIアプリケーションは、2023年の爆発的なチャットボットブームに続いて、ヘルスケア、運輸、教育など全分野に広がり、さらに中小事業者やスタートアップに浸透しようとしている段階だ。国内ECの高成長が引き続き見込まれていることも追い風になっている。

 Alibabaは5月はじめ、同社のQwen(通義千問)が2023年6月のリリースから約1年で9万社以上の企業に採用されたと発表している。一方、Baiduも同社のエンタープライズ向けLLMのQianfanのユーザーが8万5000に達したと発表している。