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誰もが参加できるAIプロジェクト「InstructLab」 Red Hatが目指す「AIの民主化」

 Red Hatが、LLM(大規模言語モデル)の開発を支援するオープンソースプロジェクト「InstructLab project」と、AI開発に対応したプラットフォーム「Red Hat Enterprise Linux AI (RHEL AI)」を発表した。多くのLLM基盤モデルがクローズドソースなのに対し、コミュニティ主導で、より多くの開発者がAI開発に参加できるようにして「AIの民主化」を図るという。

LLM自体とAIアプリを開発するプラットフォーム

 「AIを稼働させる場所の選択肢はどこにでもあり、それはオープンソースに基づいている。Red Hatのモデルは、オープンソースが世界の可能性を解き放つものだ」。5月6日から9日まで開催された「Red Hat Summit 2024」の基調講演に立ったCEOのMatt Hicks氏は、こう述べて、オープンソースのAI開発へのコミットを強調した。

 Red Hat Summitでは、統合アプリケーション・プラットフォーム「OpenShift AI」の多くの新機能や関連ツールが発表されたが、大半がAIに関係するものだった。その中でも、「Red Hat Enterprise Linux AI(RHEL AI)」は基盤モデルを元にLLMそのものを開発するツールとなる。

 RHEL AIには、Apache2.0でオープンソース化したIBMのLLM「Granite」や、機械学習ライブラリPytorch、NVIDIA、Intel、AMDの各GPUに最適化されたブータブルイメージ、そして、InstructLabモデルアライメントツールなどが統合されており、LLMをファインチューニングして、AIアプリケーションを構築できる。

 ユーザーが「 GraniteファミリLLMをシームレスに開発、テスト、実行するための基盤モデルプラットフォーム」(プレスリリース)という。

 ノートパソコンなどで実行可能で、ローカル環境で開発・テストしたAIアプリケーションは「Podman AI Lab」でクラウド上に展開できる。Podman AI Labは、コンテナやKubernetesアプリ用の開発GUIツールであるPodman Desktopの拡張機能で、同時に発表された。

 RHEL AIは、まず開発者プレビューとして開始され、数カ月後に一般提供する予定だ。

 そして、ここにオープンソースの力を注ぎ込むのが、InstructLabプロジェクトだ。