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誰もが参加できるAIプロジェクト「InstructLab」 Red Hatが目指す「AIの民主化」

InstructLabの効果

 InstructLabはLABを基盤として、誰でもAI開発に参加できるコミュニティ主導のモデル開発を目指している。

 従来のLLM開発では、モデルをファインチューニングするには、フォークすることになる。実際、Hugging Face には6000を超えるLlama 3の派生モデルが生まれている。しかし、それらの作業が元のモデルに取り入れられることはほとんどなく、貢献は消えていく。

 一方、InstructLabはモデルの再構築や再訓練ではなく、提供されたスキルをアップストリームでモデルに統合してゆくため、定期的にビルドを作成できるという。

 また、参加の敷居が低いのも特徴だ。InstructLabへの貢献は、知識とスキルを構造化データのフォーマットYAMLで記述してプロジェクトに投稿する。MistralやLlama2のファインチューニングを行うには、データサイエンスやフォークの知識が必要になるが、InstructLabではテキストベースの記述をするだけで済む。

 このモデルでは、専門のソフトウェアエンジニアに加えて、”市民開発者”のような層の参加が期待できそうだ。既にGitHub上にプロジェクトページが公開されている。

 これまでのオープンソースのAIモデル開発では、「Llama」を開発したMetaをはじめ、Mistral AI、Hugging Faceなどが大きな役割を果たしてきた。Red Hatは今回、自身をそれらに続く重要な貢献者と位置づけている。

 AI開発では、資金力のある大企業に成果や資源が集中し、その危険性や倫理的問題に対処できなくなるとの懸念がある。そうしたことから、Mozillaや50近い市民団体や有識者が3月、米商務省長官あてに公開性と透明性を求める公開書簡を送ったところだ。

 Red Hatの試みが、どんな成果を生むのか注目される。