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クラウド戦略とオープンソース開発の行方は IBMのHashiCorp買収

Red Hatとの相乗効果

 Red HatとHashiCorpというマルチクラウド管理2大ツール群を取りそろえるIBMの戦略を専門家は高く評価しているようだ。

 業界アナリストのSteve McDowell氏は「HashiCorpのツールの柔軟性は、IBMがマルチクラウド環境で顧客をサポートするのに役立ち、ハイブリッドクラウド・ソリューションへの拡大に合致する。IBMの広範な顧客基盤は、HashiCorpの製品との重要なクロスセルの機会を提供し、既存のIBMサービスとの相乗効果を生み出す」とForbesへの寄稿で述べている。

 また、The Registerは、ソフトウェア売り上げ増の好機とKrishna氏がとらえていることを伝えている。「BroadcomのVMwareの買収で、今後20~30年にわたってアプリケーションをホストし、構築するためのプラットフォーム選択にユーザーの関心が集中している」ためで、Red HatとHashiCorpのツールの組み合わせが、ソフトウェア事業の成長の源泉になるという判断だ。

 The Next Platformは、HashiCorpのツール群は、Red HatブランドのOpenStack、OpenShift、Ansibleなどの代替となるとした上で、「買収は、顧客がどのスタックを選ぼうともIBMの勝利を確実にする最善の方法」と評する。

 IBMは、HashiCorpのツール群をRed Hatの製品に統合はしない考えを示している。Krishna氏は電話会議で、「HashiCorpをRed Hatの事業に巻き込むことが目的ではないと強調した」(SDxCentral)といい、補完する位置づけになるようだ。

 組織的にも、HashiCorp CEOのDave McJannet氏は、IBMのソフトウェア担当バイスプレジデント兼最高コマーシャル責任者のRob Thomas氏の指揮下に入る。

 だが、「HashiCorp Cloud Platformには、そう遠くないうちにRed Hatのブランドが付く可能性が非常に高い」(The Next Platform)という見方もある。