Infostand海外ITトピックス

モバイル分野のAIで先手打つGoogle SamsungのAI搭載スマホ発表

気になるAppleとMicrosoftの対抗策

 では、SamsungとGoogleの動きは市場にどのような影響を与えるのだろう。SamsungはAppleと、GoogleはAIでMicrosoftなどと競合関係にある。そこで手を組む可能性を指摘する声もある。

 Appleには現時点では目立った動きは少ないが、2023年末、「MLX」をGitHubでリリースしている。Appleシリコン向けに設計した機械学習フレームワークだが、OpenAIと手を組むMicrosoft、Google、Anthropicなどと比べると、大きく遅れているように見える。

 一方のMicrosoftは、「生成AIのリーダーとして認識されているが、モバイル分野では存在感がない」(Andy Thurai氏)という。Thurai氏は、モバイルにおける生成AIでAppleとMicrosoftが独自の関係を模索するとしても不思議ではない、との見解を示している。

 Appleには、顔認証、音声アシスタントの「Siri」やオートコレクト、64ビットARMベースにSoC「A15 Bionic」などの取り組みがあり、年10億ドルをこの分野に費やしているという。

 Appleについては、気になるニュースもある。Siri開発の重要な部分を担うという「Data Operations Annotations」と呼ばれる約120人のチームを、カリフォルニア州サンディエゴからテキサス州オースティンに移動させるというもので、受け入れないスタッフは解雇になるという。BloombergのAppleウオッチャー、Mark Gurman氏が消息筋の情報として報じた。

 生成AIはスマートフォンでも使える。ブラウザーで動かすもよし、ChatGPTはモバイルアプリも用意している。しかし、アプリに統合されていることでユーザーの利便性は格段に上がる。NPU(Neural Processing Unit)の登場に合わせてPCメーカーはローカルでAIが動く“AI PC”の開発を進めていると言われる。スマートフォン分野でも、AIスマートフォンというカテゴリが形成されるとみても良いだろう。

 生成AIブームが続く今年、いろいろな所で新たにAIを目にすることになりそうだ。