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「Dreamforce」で弾みを 生成AIに賭けるSalesforce

合理化と生成AI戦略

 多くのテクノロジー企業のように、Salesforceも新型コロナ沈静後に業績が悪化した。“もの言う投資家”Elliott Managementの介入を受けたSalesforceは2023年初めに8000人規模の解雇を発表した。Benioff氏はElliottのプレッシャーを受けながら、合理化と製品開発の両輪を回してきた。

 そこに生成AIブームが訪れ、製品側ではこの波に乗ることになった形だ。

 決算発表でBenioff氏は、個人的なショッピングから自社の意思決定においてもAIを活用していると明かした。Salesforceの役割は、生成AIの民主化。「Einsteinという素晴らしい技術に大きな投資をして育ててきた。これをコアのテクノロジーに統合することで生成AIを民主化し、あらゆる仕事、ビジネス、業界で、容易に活用できるようにする」とし、そのために「Salesforceは有利なポジションにある」と述べている。

 またプレジデント兼 最高執行責任者(COO)のBrian Millham氏は、顧客がフォーカスするのは生産性や事業の成長で、「(Salesforceの)AI CRMがそれを解決できる」と述べている。

 Salesforceは通年の売上高予想を347億ドルから348億ドルに上方修正している。生成AIをテコに飛躍できるのだろうか?

 ライバルとの競争について、アプリケーションを中心にクラウド業界を分析するCloud WarsのBob Evans氏は、四半期単位ではSalesforceがSAPを超えたものの、12カ月(年間)単位ではSAPが337億8000万ドル、Salesforceは330億70000万ドルとまだ抜いてはいないと指摘する。

 さらに、SAPのクラウド売り上げはSalesforceの2倍(SAPは23%、Salesforceは11%)で伸びていることなどに触れながら、「2社のガイダンスを考慮すると、SAPはSalesforceに対して長期的なリード、短期的なリードをとると予想できる」としている。

 Benioff氏は「AIは”購買革命”に火をつける」と述べ、Dreamforceで新しいAI製品がもたらす成長に期待を寄せている。