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賛否分かれる HashiCorpの“脱”オープンソースライセンス

オープンソース業界からの批判

 HashiCorpの新ライセンスに対して、オープンソース業界からは批判が目立つ。OpenSource For Uは「自社を支えてきたコミュニティに敵対的なもの」(Perconaの共同創業者Peter Zaitsev氏)とのコメントを紹介する。

 オープンソースジャーナリストのSteven J. Vaughan-Nichols氏も、The New Stackの記事で、不満の声を紹介する。

 例えば、HashiCorpと競合するIaCベンダーPulumiのCEO、Joe Duffy氏は「HashiCorpの発表は不誠実だ。われわれはHashiCorpにアップストリームの修正を何度も貢献しようとしたが、HashiCorpが受け入れようとしなかった。だから、フォークを維持するしかなかった」という。

 System Initiativeの共同創業者兼CEOのAdam Jacob氏は「HashiCorpが多様で幅広いオープンソースコミュニティを育んでいれば、クラウドの共通語になっていた。だが彼らはそれができなかった」と述べているという。

 企業だけではない。ある開発者は、HashiCorpのコントリビューターライセンス契約(CLA)に合意して貢献をしたが、「HashiCorpに自分の著作物を商用製品で使用する許可を与える」ことになり、その後それを撤回できないことに憤りを感じているという。

 だがネガティブな意見だけではない。OpenSource For Uは、HashiCorpの転身を称賛するScarfのCEO、Avi Press氏のコメントを引用する。「BSL切り替えをスムーズに行うという点で、良い基準を作った。名称を間違えることもなければ、攻撃もない。ビジネス上の難しい決断を慎重に伝えただけだ」