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AI開発の転機? オープンソースには勝てない

商利用可能なライセンスのLLMも続々

 学術研究面も大きく進展していた。性能でGPT-3を超えるともいわれるLLaMA派生モデル「Alpaca」を3月13日 にスタンフォード大のグループがリリースした。3月19日にはカリフォルニア大学などの横断グループが、Alpacaにさらに調整を加えた「Vicuna」でGoogleのBardと同等の性能を達成したと報告した。

 数十億程度の比較的パラメータ数の少ないモデルで、安価にGPT-3やBardに負けない生成AIがつくれることが分かってきた。また、こうした調整データはオリジナルのLLaMAの重みのライセンスからは独立しているため、自由に配布できる。

 さらにLLaMAとは別に行われていたオープンソースプロジェクトも活性化。多くの研究者・開発者がLLaMAの特徴と挙動を深く理解することで、新たな手法で高性能のLLMが作られていった。

 こうした新しいLLMには商利用可能なものもある。例えば、4月12日にDatabricksがリリースした「Dolly 2.0」、4月19日にStability AIがリリースした「StableLM」などだ。

 そしてTogetherが5月5日にリリースした「RedPajama-INCITE」はLLaMAをベースとしながら、商利用可能なライセンスで提供される。ビッグテックに独占されていた高度な生成AIが、さまざまなプレーヤーの手で開発可能になった。

 文書は「私たち(Google)の最善の望みは、Google外で他の人々が行っていることから学び、それと協力すること」と提言している。

 当のGoogleは具体的な動きを見せてはいないが、OpenAIは既に手を打とうとしているようだ。5月16日付のThe Informationは、OpenAIがオープンソースのLLMを公開する準備をしていると報じた。

 計画を知る匿名の人物の話で、いつリリースされるかというタイムラインは不明だという。