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CEOの議会証言も平行線 TikTok禁止めぐり米国沸騰

Oracleと組む“Project Texas”で米国内へのデータ保管を主張

 米国でTikTokが政治家たちの目の敵にされるようになったのは、Trump政権時までさかのぼる。国家安全保障上のリスクがあるとしてHuaweiなど中国企業に対する制裁を加える中、Trump氏はTikTokに対しても売却か禁止の二者択一を迫る大統領令を発令した。しかし法的根拠が薄いとして連邦地裁が差し止め、Biden政権で撤回された。

 一方で、Biden大統領は、国外から米国民のデータを保護するという観点で対策を検討するよう指示した。現在も調査が続いている。

 しかし、安全保障上のリスクと若者への影響(前者を重視するのは共和党議員に多く、後者は民主党議員に多い)を問題視する議員らは、TikTok禁止を強く求めて活動している。下院委員会での公聴会はその一環で開かれた。

 その公聴会でChew氏が強調したのが「Project Texas」だ。「米国のデータは米国内に、米国企業により保存され、これを米国の担当者が統括する。このイニシアティブを“Project Texas”と呼んでいる。テキサスには(パートナーの)Oracleの本拠地があるからだ」とChew氏は言う。

 現時点で、TikTokの米国のデータはデフォルトでOracleのデータセンター上に保存されており、データへのアクセスを管理する目的で「TikTok US Data Security」部門を設けたとしている。

 だがChew氏の必死の主張も、委員たちを納得させるにはほど遠かったようだ。

 ある委員は、親会社のByteDanceは中国企業であり、幹部に共産党員がいると指摘しながら、「ByteDanceは中国の法律に従わなければならない。そしてByteDanceがTikTokのデータを共有せよと言えば、あなたはノーと言えないはずだ」と迫った。Chew氏は「データは米国に保存される」と返した。

 公聴会は、終始、つるし上げのような雰囲気となった。テキサス州選出の委員が、「Project Texas」に「テキサスの名を使うな」と迫るなど、本筋とはあまり関係ないような発言も飛び出した。