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FTCのMeta買収差止訴訟 動き出したKhan氏の逆襲

提訴への反応

 訴えられたMeta側は即座に声明を発表。「イデオロギーと憶測に基づいている」「精査に堪えない多くの欠陥のある前提条件と裏付けのない仮定に基づく主張」とFTCを非難している。

 また「既存および将来の多くのプレーヤーがいるダイナミックな空間でフィットネスアプリ1社を買収することが、どうして競争を阻害すると言えるのか」として強く異議を唱えている。

 New York Timesなどによると、専門家も困難な訴訟になるとみているようだ。

 2008年から2009年までFTC委員長を務めたWilliam Kovacic氏(ジョージ・ワシントン大学 法科大学院教授)は、芽生えたばかりのVR市場でMetaを訴えたことは、「合併への法執行の境界を広げようとする意図的な実験」であり、「FTCの勝訴が難しいことは確か」とみる。

 テック業界も反発。BoxのCEO、Aaron Levie氏は「規制当局が将来の市場を予測するのは、非常に危険な前例と立場だ」と懸念を述べている。

 一方、Khan氏にとって今は、やっと訪れた時機でもある。

 今年5月、FTCの委員の1人が交代した。FTCは重要事項を5人の委員(委員長を含む)の投票で決める。それまでの委員の共和党系対民主党系の構成比は「3対2」で民主党系のKhan氏の施策は委員会で阻まれてきた。それが「2対3」となり、民主党優位に逆転した。Khan体制は、これを機に一気に動き出した。

 Khan氏は6月のNew York Timesのインタビューで、こう語っている。「10年後に『ああ、大きな問題があったのだ』『見逃していた大きな瞬間があったのだ』と気づくのではなく、問題を予見し、迅速に対応するために、私たちは本当に前向きに取り組もうとしている」

 8月5日付のBloombergなどによると、MetaはWithinの買収計画を一時停止することでFTCと合意した。Metaの弁護士とFTCの担当者が内部の議論をしているという。水面下の綱引きが続いているようだ。