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Twitter側が一転して受け入れ Elon Musk氏の買収提案

 Elon Musk氏の買収への対抗姿勢を見せていたTwitterが一転、提案を受け入れると発表した。買収提案に驚いた世界は、それが成立するというニュースに重ねて驚がくした。関心は、超大型買収の行方から、Musk氏がTwitterをどう変えていくのかに移っている。一方で、このまま進まないとする見方も根強くある。

経営状態と銀行の意向

 Twitterは4月25日、「Elon MuskがTwitterを買収」と題したプレスリリースを出した。同氏の提案した1株当たり54.20ドルの現金(総額約440億ドル相当)の買収で正式に契約。Twitterは非公開企業になると説明した。年内の完了を見込んでいる。

 Musk氏が「1株あたり54.20ドルで最終的な買収提案を行った」とツイートしたのが4月14日。Twitterを「言論の自由のためのプラットフォーム」にすることが目的とする同氏に対して、取締役会は「ポイズンピル」を導入して対抗の動きを見せていた。それが結局、11日目で180度方向転換した。

 交渉の経過を検証したWall Street Journalは、背景として銀行の意向を挙げている。主幹銀行はMusk氏の提案は適正との意見を持っており、当初は突っぱねた取締役会が次第に耳を貸すようになっていたのだという。

 折しも、テクノロジー関連株が暴落中だ。現金で支払うというMusk氏の提案は魅力的に見え始めた。最終的には、Bret Taylor取締役会会長が週末に2度Musk氏と会談して決まったようだ。取引成立は、その翌日に発表となった。

 Twitterの主幹銀行のレポートには、「1株54.2ドルの提案は妥当であるだけでなく、Twitterが自力で到達するのは困難」と記されているという。

 Twitterは世界を動かすプラットフォームになりながら強力な収入源を欠いており、たびたび赤字を出してきた。

 28日の四半期決算(2022年1-3月期)発表では、売上高12億ドル(前年同期比16%増)、純利益5億1300万ドルだったが、営業損益は1億2780万ドルの赤字を計上している。売り上げの9割が広告収入で、「サブスクリプションおよびその他」はわずか9400万ドル(同31%減)だ。

 滞在時間の短いTwitterが広告ビジネスで不利なことは以前から指摘されてきた。しかも、広告以外の収入が育っていない、というのが同社の置かれている状況だ。