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Whitehurst氏の突然の退任 IBMの今後を懸念する声も

「IBMがRed Hatになる」のか、「Red HatがIBM」になるのか

 多くのメディアは、Whitehurst氏を失うことは、IBMにとって大きな損失になるとみる。Red HatはWhitehurst氏の下で、Linuxベンダーとして初の売上高10億ドルを2012年に達成。2016年には倍の年商20億ドル企業となった。

 買収後も、IBMのクラウド事業の売り上げは会計年度2020年に前年比20%増の251億ドルとなった。Red HatのコンテナプラットフォームOpenShiftを統合した「IBM Cloud Paks」は、IBMのクラウド戦略で重要な製品と位置付けられている。

 2021年第1四半期は「Cloud Pakの成長がけん引し」(IBMの決算発表)、クラウド&データ・プラットフォームの売上高は前年同期比13%増。クラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業全体の売上高は前年同期比3.8%増の54億ドルとなっている。

 こうしたことから、SiliconANGLEの市場リサーチ部門の首席アナリスト、Dave Vellante氏はWhitehurst氏の退任を「懸念される」とする。「Whitehurst氏は文化の人であり、Red Hat側からの導き手だった。IBMがRed Hatになることができれば勝利だが、もしRed HatがIBMになれば問題、というギリギリの線だった」と言う。

 そしてWhitehurst氏の退任の意味は「ハイブリッドクラウドビジョンが見通せないということだろう」と記している。

 パートナーからも失望の声が上がっている。CRNは、匿名のIBMのパートナー企業のCEOのコメントを紹介。「Whitehurst氏の退任は、IBMの官僚的なやり方にいらだちを感じていたからだろう」とする。この人物は、Whitehurst氏が「これまでの枠組みに縛られない考え方をIBMにもたらしてくれると期待していた」とも漏らしている。