Infostand海外ITトピックス

機械学習プラットフォームを刷新 Googleの「Vertex AI」

 Googleが機械学習のマネージドサービス「Vertex AI」を発表した。新言語モデル「LaMDA」など大きな発表があった「Google I/O」の中では地味な扱いだが、クラウド市場では重要なものになりそうだ。Googleは機械学習の技術自体ではリードしてきたものの、開発ツールの使いやすさの面では競合との差が指摘されてきた。Vertex AIは巻き返しを図る製品となる。

最小限の専門知識で利用可能

 Vertex AIは、データサイエンティストや機械学習エンジニア向けに、機械学習プロジェクトの構築、実装、管理を支援するマネージドサービスだ。Googleは、AIモデルの実装とメンテナンスを加速し、競合と比較してモデルのトレーニングのためのコードは80%削減できるという。

 「あらゆる専門知識レベルのデータサイエンティストと機械学習エンジニアが、『MLOps』を実装し、開発ライフサイクルを通じて機械学習プロジェクトの構築と管理を簡素化できる」(Google Cloud)とアピールする。

 Google Cloudは以前から機械学習プラットフォームを「AI Platform」として提供してきた。Vertex AIはこれを整理、強化し、再ブランドしたものだ。機械学習関連の技術やツールは、急速な拡張と進化の中で複雑化。全体の統一感がないまま膨らみ、ツール間のデータ互換性も低くなっている。

 一方でデータサイエンティストを引きつけるには、データの取り込みから、分析、実装まで整理されたワークフローを提供することが必要になっている。Vertex AIはそのためのプラットフォームとして用意した。

 Vertex AIはGoogle Cloudのカスタム機械学習モデル構築機能「AutoML」のサービスを統合し、最小限の専門知識でモデルのトレーニングが可能。また、カスタムツールによる高度な機械学習モデルの構築にも対応するという。

 MLOpsツールとしては、機械学習パイプラインの運用を効率化する「Vertex Pipelines」(旧「AI Platform Pipelines」)、新機能として「Vertex Feature Store」「Vertex Vizier」「Edge Manager」なども備える。