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ヘルスケア市場に本格展開するMicrosoft 197億ドルでNuance買収

優先順位の高いAIとヘルスケアとのつながりを一気に獲得

 Microsoftの狙いは、医療・ヘルスケア分野の強化だ。Microsoftクラウドが医療分野に本格進出したのは、2020年の「Microsoft Cloud for Healthcare」のローンチからだ。

 これは、Dynamics 365 Marketing、Dynamics 365 Customer Service、Azure IoTなどを医療業界のニーズに合わせて構築した業界別のクラウドサービスとなり、患者体験の改善、医師やその他の医療従事者間のコラボレーション、医療データの活用強化などができるとしている。

 今回、このソリューションにNuanceを統合する。同社の技術はもちろん、その顧客、EHR関連企業との関係も得られる。Nuanceにしてみれば、現在米国中心である市場を国外にも拡大できるわけだ。

 MicrosoftのCEO、Satya Nadella氏は発表で「AIは最も優先順位が高いテクノロジーであり、ヘルスケアは最も重要度の高い応用分野」とコメントしている。獲得可能な最大市場規模(TAM)は5000億ドルと見積もる。

 MicrosoftとNuanceは以前から提携関係にあった。DAXなどNuanceの技術はMicrosoft Azureをベースとして、クラウドで提供されている。また2020年には、DAXと「Microsoft Teams」との統合を発表。Teamsでの会話の自動記録や、医師が会話形式でEHRに記録するサービスなどを実現している。

 買収後、Nuanceは現CEOのMark Benjamin氏がトップを続投。MicrosoftのIntelligent Cloudの一部となり、ヘルス&ライフサイエンス事業のコーポレートバイスプレジデント、Gregory Moore氏が統合を進めると伝えられている。

 Moore氏は医師でもあり、AI・機械学習を含む同社のヘルスケア戦略の責任者だ。Microsoftの前は、Google Cloudにヘルスケア部門を設立してバイスプレジデントを務めた経歴がある。