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APIに「フェアユース」を適用 Google対OracleのJava訴訟で最高裁判決

ソフトウェア業界の多くは歓迎するが……

 裁判の過程で、開発者やテクノロジー企業の多くはGoogleを支持し、「APIの利用が保証されてはじめてイノベーションが進む」と主張してきた。今回の判決には早速、歓迎のコメントを出している。

 Mozilla.orgはブログで「ソフトウェア開発者の重要な勝利」と述べ、「長年の不確実性が解消され、ソフトウェアの競争力強化と後続のイノベーションが可能になる」と評した。

 法律専門家からも支持の声が出ている。ニューヨーク大学ロースクールのJeanne Fromer教授(著作権法)は「(ソフトウェア業界の)長年の慣行を支持したもの」で、「ソフトウェアの著作権者が重要なインターフェイス部分を独占することができないことを示したもの」とTimeにコメントしている。

 一方、批判的な声もある。Wall Street Journalは編集委員会名のオピニオン記事で「多数派は、Googleのコードクリッピングをフェアユースとすることで、知的財産権の保護を弱めた」と総括。Thomas判事の反対意見「GoogleのJava APIのコピーはOracleのビジネスモデルを破壊した」という主張に賛同した。

 この判決の影響はどうだろう――。法律事務所Dorsey & Whitneyの知財弁護士 J. Michael Keyes氏は「著作権についての今世代で最も重要な判決だ」とBloombergなどに語っている。

 最高裁は「事実がフェアユースに相当するか否かの最終的な判断は、裁判官が新たに行うべき法的問題である」と意見書で述べている。Keyes氏によると、これは今後、フェアユースの判断が法的審査の各段階で最初から見直される可能性があることを意味するという。

 同氏は、ソフトウェアを巡る紛争がさらに拡大される可能性があると予想。「より多くのコピー、より多くの訴訟、より多くのフェアユースの主張が今後出てくることになるだろう」としている。