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APIに「フェアユース」を適用 Google対OracleのJava訴訟で最高裁判決

「ロボットにレシピを運ばせる」のと同じ

 判決では、実際の操作を行うコード(さまざまなタスクを行うプログラム)を「実装コード」と呼び、巨大な全体プログラムの中から、これを探し出して、実行させるコードを「宣言コード」と呼んでいる。

 つまり、1万1500行のJava APIのコードは、構造化されたJavaプログラムの中で“指示書”のようなものと解釈。創造性を必要とする実装コードが著作権で保護されるのに対し、宣言コードは実装コードを使うために学ぶ対象であって、「著作権の中核から離れた存在」と規定した。

 Stephen Breyer判事がまとめた意見書は、その性質を次のような例えで説明している。「あなたはキーボードを叩いてロボットに指示します。ロボットはファイルキャビネットに行って引き出しからレシピを取り出し、キッチンに移動して料理人に渡し、料理を作ってもらうのです」。

 これはJavaでは「メソッドコール」と呼ばれるものにあたり、当時の多くのJavaプログラマーが学習して慣れ親しんだ技術だ。メソッドコールを利用することで、プラグラマーは新しいモバイルOSであるAndroidを簡単に操作して、プログラムを作り直す大変な作業を免れることができたという。

 しかし、判決は満場一致で決まったわけではない。米国最高裁は9人の判事で審理するが、今回、多数派6人と反対派2人(もう1人は任期前の事件のため評決に加わらなかった)に割れた。

 反対派のClarence Thomas判事は、Googleに有利な要因となっている「宣言コードと実装コードの区別」は恣意的だと述べ、宣言コードにも著作権性が認められ、著作権法上もそのような区別はないと指摘している。

 また市場効果の面では、Googleの行動が、スマートフォンやワイヤレス業界におけるOracleの潜在的な市場に「悲惨な影響を与えた」とする。具体的には、「Amazonは、Kindle端末にJavaプラットフォームを組み込むためにOracleにライセンス料を支払っていたが、Android登場後、Oracleは97.5%の割引を要求された」ことなどを挙げている。