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動き出すLibra ただし、もうLibraではない
2020年12月7日 11:12
暗号資産(仮想通貨)の「Libra」が名称を変更した。新しい名称は「Diem」といい、ラテン語で「日」を意味する。Libraは昨年6月の発表以来、世界で物議を醸し、主導してきたFacebookは段階的に方向転換を行ってきた。改称はその仕上げになるようだ。早ければ来年はじめにもスタートできると報じられているが、内容は別モノになっている。
Libraの名前が全て消えた
管理コンソーシアムの「Libra協会」(Libra Association)は12月1日、Libraの名称をDiemに変更したと発表した。合わせて、協会はDiem協会(Diem Association)に、システム運用を担当する業務会社の「Libra Networks」は「Diem Networks」になった。Diemには、プロジェクトの新しい日の始まりの意味を込めたという。
協会のCEO、Stuart Levey氏は声明で、「Diemは、プロジェクトの成熟と独立性が増したことを表す新しい名称であり、われわれは、これを導入できることに興奮している」と述べている。
Facebook側でも、子会社で暗号資産のデジタルウォレットを提供する「Calibra」が今年5月、名称を「Novi」へと変更した。社名に含まれていたLibraはなくなり、今回、Libraの名は完全に消えたことになる。
名前だけでなく、体制も刷新された。今年6月に協会のCEOに就任したLevey氏は、世界最大級のメガバンクHSBCの最高法務責任者を務めた金融の専門家だ。その前は米Obama政権の財務副長官(テロ・金融情報担当)だったことで知られる。また10月には、協会のCFO兼最高リスク責任者に、やはりHSBCの幹部だったIan Jenkins氏を迎えている。今回、新生Diem Networksには「世界的な専門家のグループを集めた」と説明している。
声明では、「当協会は、FINMA(スイス金融市場調査局)から決済システムのライセンスを含む規制当局の承認を受けた場合にのみ、事業を進めることを約束している」と、当局の意向に従うことを強調している。
発表以来、Libraを巡って世界で巻き起こった批判への対応が完了したようだ。