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MicrosoftはSkypeを“化粧直し” 新型コロナでビデオ会議サービス活発

コンシューマー向けのSkype、仕事と生活のTeams

 Microsoftは今回、TeamsとSkypeの棲み分けを再構築したようだ。The Vergeによると、同社はSkypeを「基本的なチャットとビデオ通話機能にアクセスしたいコンシューマー向けの素晴らしい選択肢」。Microsoft Teamsは機能追加によって「仕事と生活のオールインワン・ハブ」になると説明している。

 RBC Capital Marketsのシニアリサーチアナリスト、Alex Zukin氏は「人々の持つMicrosoftのイメージは、安全で、幅広く使われており、既に別の(Microsoftの)製品で馴染みがあるというものだ。だから、(Teamsを)加えることもできる」との見解をBusiness Insiderに述べている。シリコンバレーのベンチャーに対して、大企業の信頼と安定感がMicrosoftの売りとなる。

 だが、新機能の追加が、Skypeを本気で復活させることを意図したものかと言えば、そうではなさそうだ。実は、Meet Nowは新規の機能ではない。

 MicrosoftウォッチャーのPaul Thurrott氏は自身の情報サイトで「Microsoftは、Zoomに対抗できるようにSkypeに新しい機能を加えたわけではない」「安全性で劣る競合サービスとほぼ同等の機能を備えるということを思い出せているだけ」と指摘している。Meet Nowは、ちょっとした“化粧直し”をしただけなのだ。

 一方、Googleも「Google G Suite」の一部として提供するビデオ会議サービス「Google Hangout Meet」を「Google Meet」に名称変更した。マーケティング的な判断だろう。

 同社も新型コロナ効果で、ユーザーを獲得している。CNBCによると、Google Meetのユーザー数は新型コロナを受けて、今年1月から25倍に増えたという。同時にG Suiteの有料顧客も600万(昨年2月は500万)へと増加した。Zoomのように派手ではないが、有料でこれだけ増やしたことは注目に値する。

 この市場はいま、「WebEx」のCisco Systems、「Adobe Connect」のAdobe Systemsなどの老舗や、Housepartyなどのベンチャーがひしめいている。Zoomの失敗や、MicrosoftやGoogleの対応をみていると、無料のユーザー獲得でのし上がっていこうとするベンチャーと、マネタイズの“実利”を押さえてゆく大手との対比も見えてくる。

 新型コロナが終息するころには、世界は変わっているだろう。混乱と変化の中で勝ち抜くのは誰になるのか――。