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“第二のAWS”になるか Amazonがレジ無しコンビニの技術を外販

Amazonの狙い

 AmazonがJust Walk Outで狙うのは、新しい売上源だろう。社内向けITインフラをサービスとして外販したAWSの成功は、誰もが認めるところだ。Just Walk Outも同じような展開を狙ったとみて間違いない。

 だが、ECで成功し、生鮮食料品まで展開するAmazonは小売業者に敵視されてきた。最大手のWalmartはMicrosoftと戦略的提携を交わし「Windows Azure」をクラウドに選ぶなど、そのAmazon嫌いは相当なものだ。小売業者の多くはAmazonアレルギーを持っている。早々にJust Walk Out導入を決めたOTGも普通の小売業者ではなく、空港内施設の運営業者だ。

 だが、小売にとって、レジが“ボトルネック”になっているのも確かだ。The Registerは、Amazon Goの売り上げが米国の典型的なコンビニよりも50%多いとのRBC Capital Marketsの見積もりを引用している。Just Walk Outは条件によっては魅力的に映るはずだ。

 Amazon側の目論見はどうだろう。

 投資家ブログThe Motley Foolに投稿した投資ライターのJames Brumley氏は、Just Walk Outを「500億ドル市場に参入する、ローリスクでハイリターンの可能性を持った」ビジネスと分析している。

 同氏は、ベンチャーキャピタルLoup Venturesの「小売業者がレジ無し技術に移行する際の市場規模は500億ドル」との予想を紹介。小売業界がPOS端末に年間1000億ドルを費やしている中、この額は決して大げさではないと主張する。

 一方で、7-ElevenやWalmart、Krogerなどライバルの小売大手は、独自のレジ無しシステムの実験・開発を進めており、この市場の戦いは始まっている。そして、Amazonはその中で唯一、サードパーティ向けの完全サービス販売を開始することになる。

 Brumley氏によると、販売するのは既に開発済みの技術であり、サービスとして販売するには、さしたる追加費用は要らない。期待できる市場に比して大きな財務的リスクはないという。

 こうしてみていくと、Just Walk OutにはAWSにも似通ったところがある。どれだけの顧客を獲得できるか次第だが、AWSのような大きなビジネスになる可能性は否定できない。