Infostand海外ITトピックス

AI企業・コミュニティが参戦 新型コロナとの戦い

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ついにパンデミックに至った。欧米では感染者、死亡者が急増し、各国当局が対応に追われている。米国は、データ分析のプラットフォームKaggleを通じて、世界のデータサイエンティストや統計家に協力を求めている。AIとデータを駆使し、世界が協力しながら“人類共通の敵”に立ち向かおうという取り組みだ。

世界のデータサイエンティストに協力呼びかけ

 「自然言語処理やその他のAI技術の進化を応用して、今回の感染症との戦いの支援につながるような新しい洞察を生み出してほしい」。世界のデータサイエンティストが集まるプラットフォーム&コミュニティ、Kaggleで新型コロナとの戦いのプロジェクトが3月16日スタートした。

 プロジェクト名は「COVID-19 Open Research Dataset Challenge(CORD-19)」。ホワイトハウスが主導して「技術コミュニティへの行動喚起(Call to Action)」として立ち上げたもので、新型コロナ関連の膨大なデータセットを無償提供し、分析モデル開発への協力を呼びかけている。

 データセットは、COVID-19、SARS-Cov-2(新型コロナのウイルス名)、および関連の学術論文を集めたもので、まず2万9000件でスタート。全文がそろったもの1万3000件が含まれる。これらを「ELMo」や「BERT」などの言語モデルで分類。テキスト・データマイニングツールを開発して分析してゆく。

 解決すべきタスクは、「COVID-19の危険因子で分かっていることは?」「ウイルスの起源や遺伝的特徴、進化について分かっていることは?」「ワクチンと治療薬について分かっていることは?」「医薬品外の感染予防法で分かっていることは?」など10項目がある。

 新型コロナについては、医療現場やラボから日々刻々と膨大な量の学術論文や報告が出ている。専門家でも一つひとつ追ってゆくのは不可能であり、感染症対策は時間との戦いだ。そこでデータサイエンスとAIによって支援し、迅速に新しい知見を引きだそうという試みだ。

 第1ラウンドの締め切りは4月16日、第2ラウンドが6月16日。各タスクで評価基準を最も満たしている者には1000ドルの賞金が贈られる。賞金はそのまま受け取るほか、対コロナの救援活動に寄付することもできる。