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Dellがセキュリティ老舗のRSAを売却 売る事情と買う事情

RSAの評価額は13年前と同じ

 ストレージベンダーのEMCとセキュリティの組み合わせはEMCが買収した当時は意味があったかもしれない。だが、サーバーを含む総合システムベンダーを目指すDellは、EMC買収前に、SonicWALL、Quest Softwareなどのセキュリティ企業を買収し、EMCと一緒になった後、両社を売却している。

 また、2011年に買収したマネージドセキュリティのSecureworksは、(引き続き主要株主ではあるが)2016年にスピンオフしている。こうしたこともあり、RSAも早晩、整理の対象になるという見方が出ていた。

 興味深いのは、その売却額だ。EMCが2006年にRSAを買収した際の金額は21億ドル。今回Dellは、それより2500万ドル低い20億7500万ドルで売却する。つまりRSAの評価額は13年前と同じということになる。

 セキュリティがますます重要になってゆく中で、なぜ、同じ額でRSAを手放すのだろう。その理由については、パートナー企業のコメントからうかがうことができる。

 Channel Webは、英国のBytes Security Technology PartnersでRSAのパートナー担当を務めるDave Rawle氏のコメントを引用している。「RSAのトークンベースの二要素認証を持っている顧客は、他のソリューションへの変更が難しいことから使い続けているが、OktaやDuoなど、それよりも良い方法がたくさんある」。再販事業者は今でもRSAでかなりの売り上げを得てはいるが、新規ではなく既存の顧客ばかり、というのだ。

 同時にRawle氏は、RSAがこの2年間、「新しさを持った企業に生まれ変わるように努力してきた」ことも認めている。その問題は「トークンでしか知られていない」ということだ。