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お手頃5Gスマホで5Gは普及するか 商用サービス本格化の2020年

冷静な消費者と企業

 5Gスマートフォンが成長分野であることは言うまでもない。Wall Street Journalは、世界の販売台数が、2019年の1200万台から2021年には1億7000万台に達するとのABI Researchの予想を紹介する。スマートフォン以外の5G対応デバイスについても同期間、200万台から1000万台へと5倍に増えるという。同時に、2023年時点でモバイル端末の出荷台数の9%を5G対応機種が占めるというIDCの調査も紹介している。

 しかし、5Gに対する消費者の姿勢はまだ落ち着いており、冷ややかでさえある。

 Wall Street Journalの別の記事は、先行する韓国の状況を中心に5Gが消費者の期待に応えていないと指摘している。5Gは、高速、大容量などが特徴だが、同紙が取材した韓国の若者は、ファイルのダウンロードでしか違いを感じなかったこと、5G通信が途切れること、などが期待外れだったとして4Gデータプランに戻ることまで検討しているという。

 5Gには、スマートフォンが利用する高速大容量の「eMBB」のほかに、大量端末接続の「mMTC」、超低遅延の「URLLC」がある。自動車や家電など製品での活用、工場など設備での活用が想定されているが、企業のCIOは冷静に動向を見守っているようだ。

 Wall Street Journalは約30人のCIOを対象に調査を行ったが、「5Gの“ハイプ”が誤った期待を生んでいる。5Gプロジェクトへの投資について、企業はこれまで以上に用心深くなる必要がある」(トヨタ自動車北米部門のCIO兼グループバイスプレジデントのManjit Singh氏)などの声があったという。

 3G、4Gと同様、5Gでも普及にはネットワーク、端末、そしてアプリケーションが揃わねばならない。ネットワークは各キャリアが着々と進めており、端末はAppleの投入があれば勢いづきそうだ。ただ、アプリケーションはVR、ARなどに期待がかかっているものの、まだ“キラー”と言えそうなものが見えてこない。

 Cool PadのCEO、Steve Cistulli氏は、「2020年も中頃になれば、(5Gは)重要なセールスポイントになるだろう」「コンシューマーはショップでどの世代かを気にして端末を選ぶようになる」と期待を込めてPC Magに語っているのだが……。