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躍進するKubernetes “クラウド界のユニコーン”の課題

過熱する期待

 「Kubernetesへの熱狂は、仮想マシンの完全な代替として企業が期待するから」とDiginomicaは解説。実際、Kubernetesとコンテナの組み合わせが、アプリケーションと関連データをパッケージして他のプラットフォームに移動できる環境につながりつつある。

 ただし、「そうした透明性のあるワークロードの移行は、純粋なコンテナプラットフォームでしか実現しない」とDiginomicaは言う。そして、マネージドコンテナプラットフォーム、クラウド固有のプラットフォームとアプリケーションサービスを使っている場合には不十分、とみる。

 Diginomicaは移植性の問題を詳細に指摘しているが、その1つがパブリッククラウドとの関係だ。

 先述のDatadogのレポートでは、Googleの「Google Kubernetes Engine」、Amazon Web Servicesの「Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)」、Microsoftの「Azure Kubernetes Service(AKS)」などのマネージドKubernetesが使われていると報告している。

 これについてDiginomicaは、「AWS EKS、Azure AKS、GCP GKEは全て設定、管理、リソースプロパティが異なる。違いは、クラスタのプロビジョニングとアプリの実装、それにCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)とテストでの不必要な複雑性につながっている」と解説した。

 それでも、Kubernetesには、サーバー仮想化と比べ、リソースの有効活用や、高度なワークロード管理、拡張性などのメリットがあることは確かだ。課題を解決すべく、さまざまな製品の開発も進んでいる。

 SiliconAngleに寄稿したJason Bloomberg氏(アナリストで、デジタルトランスフォーメーション分析会社Intellyxの創設者)は、KubeConイベントに参加したNew RelicやRafay Systemsなどの製品を挙げる。前者は、Kubernetesから仮想マシンや伝統的なオンプレミスまでに対応する監視ソリューション。後者は、Kubernetesクラスタとそこに常駐するアプリケーションの作成から操作や廃止まででき、オンプレミスの環境であっても対応するという。

 クラウドとオンプレミスを組み合わせた「ハイブリッドIT」は今日のエンタープライズの現実となった。クラウドネイティブ・コンピューティングを、その基盤として固めることで、CNCF、さらにKubernetesコミュニティは節目を越えたのだ――。Bloomberg氏はこう評している。