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「Azure Arc」で「Hybrid 2.0」へ Microsoftがハイブリッド戦略を強化

AWS、Googleとの違いは

 ハイブリッドクラウド、マルチクラウド戦略は、もちろんIT業界全体の方向性であり、AWSやGoogleも全力で進めている。

 2018年11月末に発表されたOutpostsは、AWSのクラウドハードウェアをオンプレミスで利用できるサービスで、AWSのパブリッククラウドと接続できる。今年9月には、ローカルで利用できるAmazon EC2インスタンス、Amazon EBSボリュームなどの詳細が公表され、年内の提供開始も発表された。

 MSV氏はOutpostsとAzure Arcを比較して、Azure Arcにはプロプライエタリなハードウェアが不要である点、Elastic Container Service(ECS)やEKS(Elastic Kubernetes Service)を使ってコンテナを動かすことができるが、外部のクラスタに対してポリシーや設定を適用できない点、などの違いを挙げている。

 一方、GoogleのAnthosとの違いをみると、いずれも外部のクラスタを登録して同じコントロールプレーンで管理できること、複数のクラスタ上でアプリケーションを実装できることなど、類似点は多いとする。

 TechCrunchも、Kubernetesを共に使っている点を指摘するが、MVC氏は「Azure Arcは仮想マシンを重要視している。顧客はハイブリッド環境で物理サーバー、仮想マシン、Kubernetesクラスタを簡単にミックス&マッチできる」と記している。

 Wall Street Journalは、Azure Arcをクラウド市場の“最もホットな部分”に向けたツールで、AWSとの戦いを加速する、と解説する。大規模な社内ITシステムを持つ企業や、データ保管の規制の厳しい業界など、これまでクラウドに完全に移行することが難しかった顧客にアピールできるからだ。

 この市場を狙うのは、Microsoft、AWS、GoogleなどのIaaSベンダーだけではなく、Red Hatを340億ドルで買収したIBM、またOracleもいる。IBMの幹部は、ハイブリッドクラウド市場に1兆ドル超のチャンスがあると述べている。

 Microsoftはこの2年でクラウド事業を2倍近くに成長させた。次なる成長はハイブリッドクラウドとみており、自社がオンプレミスでも多く利用されているという強みを生かしたいところだろう。

 12月はじめにはAWSの「re:Invent」が控えている。やはりハイブリッドがキーワードとなるのだろうか――。