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脱Androidの布石? Huaweiが独自OS「Harmony OS」を発表

Harmony OSの成功への課題

 Harmony OSは結局、「IoTをにらむ、スマート製品のためのOSで、当然、スマートフォンにも活用可能」というのがその実体だろう。いずれにしても、コンシューマー製品に搭載して成功するには、アプリエコシステムが必要になる。

 モバイルOSでは、市場を独占するAndroidとiOSの他にも、Windows Mobileなどの試みがあったが、成否を分けた要因の1つがアプリだった。Wired.comは「アプリがなければ、誰もデバイスを買わない。デバイスが普及していなければ、開発者はわざわざアプリを開発しない」と、この市場で成功するための鉄則を挙げている。

 Harmony OS上ではAndroidアプリが動作可能というが、Moor Insights & Strategyのアナリスト、Patrick Moorhead氏は「ほぼ全てのAndroidアプリは特別なAndroid APIを利用しているので、カメラ、指紋認証、ARカメラ、マイク、近接センサー、さらにはプライバシーとセキュリティ標準までも変更しなければならない」とWired.comに指摘している。

 必要なのは、アプリ開発者をひきつけることだ。Forbesは「Huaweiの資金力と影響力があれば、少なくとも中国内では開発者を引き寄せることができるだろう」とコメントしているが、世界レベルとなると別の話だ。

 米Trump政権は今年5月、Huaweiを商務省産業安全局の「エンティティリスト」に加えている。これによって、Huaweiに対して米国企業の製品やサービスを輸出する際、許可を得なければならなくなった。Wall Street Journalによると、米政府はHuaweiと取引がある米国企業に対してライセンス取得を促しているが、商務省はライセンス付与の詳細条件をまだ開示していないという。

 Harmony OSは、HuaweiがAndroidからシャットアウトされた際の代替策になりうるが、エコシステムが出来上がる前にスマートフォンに搭載するのはリスクを伴う。「すぐにスマートフォンに実装した場合、Huaweiにとっては困難な戦いになる」とCounterpoint Researchのアナリスト、Neil Shah氏はWall Street Journalに述べている。

 Huaweiは注意深くHarmony OSをローンチさせたが、その将来は引き続き、米中関係に翻弄(ほんろう)されてゆくだろう。「ハーモニー」(協調)という名が皮肉にも聞こえてくる。