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AI搭載「自律型致死兵器」が近い? テクノロジー業界の悩み

次々に出てくる新タイプのAI殺傷兵器

 ロシアのTASS通信は2月20日、Vladimir Putin大統領の連邦議会での発言として、同国初の原子力無人潜水艦が今春就役すると伝えた。「Poseidon」と呼ばれるこの潜水艦は、核攻撃能力を持ち、無人で目標まで自力航行することから、メディアでは“自律核魚雷”とも表現されている。

 Poseidonの公式情報はほとんどないが、世界の潜水艦の情報を収集しているCovert Shoresは、全長約24メートル、速度70ノット(時速約130キロ)と推定している。また2メガトンの核弾頭を搭載可能という。

 大陸間航行も可能で、核爆発で津波を起こし、沿岸部の都市に打撃を与えることができるとみられている。Business Insiderは、「たいていの核兵器が都市を破壊するのに対し、Poseidonは(海と沿岸を汚染し)大陸を終わらせうる」と強い危惧を表明している。

 1月のTASS通信の報道によると、8機のPoseidonを搭載できる潜水母艦4隻が建造中で、ロシア北方艦隊と太平洋艦隊にそれぞれ2隻が配備される計画だという。

 飛行ドローンもAI兵器化している。2月下旬、ロシアの軍需企業Kalashnikovは、爆弾を積んで標的に突っ込む高精度のドローンシステム「KUB-UAV」を発表した。幅約1.2メートル。3キロの爆弾を搭載して時速約130キロで30分間飛行できる。アブダビで開かれた防衛関連展示会で披露され、“カミカゼドローン”と報じられた。

 Kalashnikovによると、高精度、静音、取り扱いの容易さが特徴で、見つからないよう隠れた状態からも発進できるという。これまでもIS(イスラム国)などが商用機を改造した爆弾ドローンを使用した例はあるが、兵器として開発されたKUB-UAVは、高度な「スマート爆弾」になるだろうと専門家らは指摘している。

 Kalashnikovは、世界中で使われている自動小銃「AK-47」のメーカーだ。AK-47は頑丈さと安価なことから、正規軍だけでなくゲリラやテロリストにも愛用されている。KUB-UAVも安価になるとしており、紛争地などに拡散すれば、“手軽な殺傷兵器”として重宝されるだろう。