2019年の世界IT支出は3.76兆ドルで堅調　クラウドの影響が鮮明に

デジタルビジネスへの移行は衰えず

　クラウドへのシフトについて、レポートを執筆したGartnerのアナリスト、John-David Lovelock氏（リサーチバイスプレジデント）は、デジタルビジネスへの移行の流れを指摘する。

　2019年の世界経済は、英国のEU離脱問題、米中の貿易摩擦など不安定な要素が多くあるが、それでもIT市場が成長を期待できるのは、このデジタルビジネスへの流れがけん引力になるからだと説明する。「ITはもはや、ビジネスを可能にするプラットフォームではなく、それ自体がビジネスのエンジンになりつつある」とLovelock氏は言う。

　同じような見方は、Forrester Researchからも出ている。Forresterは1月末、「ITの役割が変わりつつある」という見解を打ち出したが、新しいレポートでは技術主導のイノベーションがいよいよ主役となったと記している。

　そして「ITとビジネスの境界がなくなる中で、事業部におけるITの役割は大きくなる」とした上、「CEOなどの経営層はITの価値を見るにあたって財務だけではなく競争優位性から見るようになる」「CIOは多彩な顔を持つ必要がある」といった予測を述べている。