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Facebookが専用スマート端末「Portal」発表 だが非難の嵐

Facebookとハードウェアの失敗の歴史

 Portalの印象を悪くしているのは、渦巻くプライバシー懸念だけではない。Facebookが過去にハードウェアで成功したことがないという点も、先行きに陰を落としている。

 The Vergeは、HTCと組んで作った“Facebookスマートフォン”の失敗や、Oculusの買収に触れながら、市場がPortalをどう受け入れるかを予測する。

 それによると、Portalはビデオ通話に特化した単機能デバイスだが、「Portalが購入できる消費者は、既にスマートフォン、タブレット、ノートPCは持っているはずだ(おそらくAmazon Echoも)。これらは、もうPortalの機能を備えている」と分析。「動画通話をしたいからといって、さらに専用ハードウェアを買って置こうというユーザーがどれだけいるのか」と疑問を投げかける。

 だが、FacebookにはPortalを発表しなければならない事情がある。

 Facebookのユーザーは21億人に達しており、今後は、単なるユーザー数の増加による成長には頼れなくなっている。Market Watchは、業績の伸びの鈍化から、売上増と収益増のための方策を探っている、とPortal投入の背景を分析。ハードウェア以外では、既に傘下のWhatsAppとInstagramに対して売り上げ改善でプレッシャーを与えていることにも触れる。

 Reutersは競争面からPortalを分析する。AmazonやGoogleらが家庭内デバイスを巡って争っている。これらのデバイスは音声コマンドによる検索、音楽再生、ショッピングなどに対応し、ユーザーをそれぞれの自社ネットワークに誘導できる。

 これに対してFacebookは、Portalを投入することでユーザーがライバルのサービスに流れるのを阻止し、自社から広告を送り込む環境を確保することができるかもしれない。その差別化のために選んだのがディスプレイとカメラだった――。

 だが、まさにそこが批判を浴びてしまった。データを基盤とするビジネスは、より慎重な戦略を迫られる時代になっている。