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Googleが中国再参入の報道 検索よりクラウドが狙い?

巨大提携の読み、社内の反発

 Googleは8年前、Androidなどの製品のサポートのための営業拠点と、研究施設を残すだけで中国市場から撤退した。だが、2016年ごろから中国関連の動きを活発化させている。2015年夏にCEOがPichai氏に交代したことも関係しているとみられる。

 2016年末、北京で「Google Developer Day China 2016」を大々的に開催して開発者サイトをオープン。翌2017年12月には北京にAI研究所を開設すると発表した。現在、北京、上海、深センの3カ所に計約700人の従業員を抱えている。また今年、香港に8番目のリージョンを開設する予定だ。

 近々では今年6月、中国を本拠に東南アジアなどに展開するEC大手JD.com(京東商城)に5億5000万ドルを出資。7月には、Tencentのメッセージングサービス「WeChat」のゲームプラットフォームWeChat Mini Program (WeChat MP)にAIゲームをリリースした。

 業界通は既に、この段階からTencentとGoogleの関係に注目していたようだ。

 中国で活動する起業家で、モバイル英語学習サービスのyoliのCEO、James LaLonde氏は、検閲対応検索アプリのニュースの後、国営CCTV(中国中央電視台)傘下の外国語テレビチャンネルCGTNへの寄稿で、TencentとGoogleの動きを挙げていた。

 同氏によると、WeChat MPのゲームはAI研究のためのデータ取得に役立つが、より重要なのは両社が今年1月に締結した大規模な特許クロスライセンス契約で、その価値は5億ドル超とうわさされているという。

 LaLonde氏は「この提携の効果は今後10年間、多くの分野で展開されるだろう。AI技術、プラットフォーム運営技術、小売、ロジスティック、その他のビッグデータ・アプリケーションなどだ」と語っている。中国再進出の強力な足がかりになりそうだ。

 一方、Google社内には、波紋を広げているようだ。Interceptの4日の続報によると、検索アプリのニュースで社内には強い反発が噴出。「社内はこの話で持ちきりとなり、皆怒っている」(従業員の一人)といい、上司に説明を求める者や、退職を決めたと話す者もいるという。

 検閲に対応したアプリの開発への反発と懸念からだが、中国再進出がクラウドサービス提供だったとしても、やはり中国の規制を受け入れることには変わりない。その場合も従業員の反発は避けられないだろう。Googleにとっては悩ましい事態だ。