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Googleが中国再参入の報道 検索よりクラウドが狙い?

パートナーを通して中国でクラウド展開

 Bloombergは3日付で、Googleが中国本土で自社クラウドサービスを提供するため、地元企業と協議していると報じた。「G Suite」などで手を組もうという動きだ。

 具体的に名前の挙がったパートナー候補は、ユーザー数10億超のメッセージアプリ「WeChat」(微信)を運用するTencentと、サーバメーカー大手のInspurだ。匿名の情報提供者によると、協議は年初に開始。パートナー候補は、3月末に両社を含む3社にまで絞り込まれたという。

 国外企業にとって中国市場の参入障壁は高い。特に2017年6月に施行された「中国インターネット安全法」(中華人民共和国網絡安全法)は、事実上、国外クラウド事業者を閉め出す内容だ。「中国で収集した、または生じた個人情報および重要データは、中国国内で保存する」と規定し、国外からのクラウドサービス提供ができなくなった。

 米クラウド大手は、これに対し中国企業とのパートナーシップで対応している。AWSは昨年11月、中国内に有するクラウドハード資産を売却すると発表。パートナーのNingxia Western Cloud Data Technology(NWCD)にデータを移した。Appleも今年になって、中国のiCloudの運用をGuizhou-Cloud Big Data(GCBD)のデータセンターに移管したと伝えられている。Microsoftは2014年から中国向けのAzure運用をISPの21Vianet Groupに任せており、直撃は受けなかった。

 それぞれがパートナー戦略を余儀なくされているが、Googleが交渉中の2社は特に強力だ。Tencentは、中国3大ネット企業「BAT」の一角で、中国パブリッククラウドで首位のAlibabaに対抗できる超大物だ。創業者のMa Huateng氏(Pony Ma)は全人代の代表を務めたこともあり、政治力も十分だ。Inspurは世界トップ5に入るサーバベンダーで、クラウドソリューションを展開。国営企業時代からの当局とのパイプも持っている。

 ただ、Bloombergは、「米中の貿易をめぐる緊張のため、計画が実際に進むかは不透明だ」という消息筋の言葉を伝えている。